サマーメモリーズ
□01.
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「わあー……」
健二は思わず、ため息を漏らした。
呆けるどころか、むしろ萎縮する程の大きな門。
荘厳、威圧、厳粛……
この門にはそんな言葉がぴったりだと思った。
ズルリと肩から滑った鞄を、門を見上げたまま直す。夏希先輩やその親戚の人達は、ずんずん先に行ってしまった。まさに置いてけぼり状態だ。
……あ、早く行かないと、
そう思って目を離そうとした矢先。
その瓦屋根の上で、何かが動いた。
何だろう、と目を凝らす。
あれは―――
次の瞬間、その屋根の上にひょこっと勢い良く何かが飛び出して、思わず目を丸くした。
「へっ、あ……人……?」
その正体は、人間だった。
遠くを見つめている、横顔。
端正な顔立ちで、スッと鼻筋が通っている。
その目が涼しげにも、儚げにも見えるのは、やや細められている所為なのだろうか。
思わず、目を擦る。
両手が荷物で塞がっている所為で、物凄く擦りにくかった。
ガサガサ不器用に擦って、再び顔を上げる。
そこにはもう、誰もいなかった。
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……あっ、
ホラー展開とかそんなんじゃないです。