サマーメモリーズ

□04.
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なまえは井戸ポンプを使って水を出すと、二の腕を洗った。
怪我をしていることをすっかり忘れていたのだ。因みに、屋根に上った際に落ちかけて、瓦で怪我をしたそうです。

傷口は深くは無いけれど、浅くも無かった。
なまえは唇を尖らせる。

不意に、日光が遮断された。
それも自分の所だけ。


「なまえ、」


その声に、なまえは目を丸くして振り返った。
トクリと、心臓が跳ねる。
視線の先は、優しい笑顔。


「り、理一お兄ちゃん……」


理一お兄ちゃんは、私と血が繋がっていない。というか、私はこの家の誰とも血が繋がっていない。栄おばあちゃんの養女だからだ。

―――そして、
仮にちゃんと理一お兄ちゃんと血が繋がっていたなら、私はもっと美人だったと思うんだ。


「何してる―――」


の、と言う前に、理一の表情が少し鋭くなった。端正な顔立ちの人がそんな顔をすると、余計に迫力が……
「それ、」と言って眉を寄せた理一に、なまえがちょっとビクッと強張った。


「怪我してる」
「う、ううううん見れば解るよ」


ワントーン低い声に、なまえは動揺した。そうじゃなくとも心臓跳ねたばっかりだったので。
ガッと勢いよく(けれども優しく)掴まれて、なまえは今度こそ吃驚した。


「早く手当てしよう」
「えっいいよ洗ったし大したことな―――」
「駄ー目ーだ。ばい菌が入ったらどうする」
「しょ、消化する」


ちょっと険しい表情をした理一にお兄ちゃんに、私は動揺しすぎて意味不明なことを口走った。「正気か!?」とでも言いたげな訝しい表情になった理一お兄ちゃん。やだ何か怖いよ理一お兄ちゃん。もーやだなーこれ、怪我した理由とか言ったら「危ないだろう」とかお咎め喰らうんだよやだなー!
そんなことを思いながら、私はずんずんと進む理一お兄ちゃんに強制連行されている。


「消毒くらい自分でするよ」
「いいよ俺がする」
「……ちゃんと出来るよ!?」
「当てにならないし」





―――あと、心配。




ぽつりと残した、理一お兄ちゃん。
気付けば、後ろから無意識に見上げていた。

その表情は、いつもの様に優しく微笑んでいるのかな。

それとも、

真剣だったり……しないかな?







なんて、
そんな訳、無いのかなぁ……


また、
心臓が高鳴った。





……ちょっとだけ、ね。



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理一さんは過保護

                       

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