サマーメモリーズ

□08.
1ページ/1ページ


「ここまで来たら、僕、上手く頑張ります。」

健二は急に恥ずかしくなって、再びもどかしい声の出し方になった。

「そっ、か。」

なまえは一度健二に背を向けると、ぐぐぐと伸びをした。

「じゃあ、」
「はい」

クルリと振り返り、怪しい表情を浮かべる。


「これで失敗でもすると、ただじゃおかないぞ」


目を半分伏せて、軽く首を傾ける。微かな微笑。
ただ、ふざけてみただけだった。
だけなのに


「はい……!」


その瞳は真摯で真っ直ぐ過ぎて
少し、息が詰まった。





なんていうか……
いい子、だなぁ。




なまえは「眩しっ」と目を瞑った。当然健二は首を傾げる。
なまえはキョロキョロと辺りを見渡して、ちょいちょいと健二に手招きをする。それに従い、健二が寄る。
地面に屈む二人の表情は、秘密会議をする小学生に似ている。


「君に名案があるよ」
「自分で『名案』って言っちゃうんですか?」


う、うるさいなと意外にも頬を染めたなまえに、健二の表情が綻ぶ。


「いい?君の捏造された過去に更なる信憑性を増すために」
「嘘を嘘で塗り固める作戦ですね」
「そう。つまり設定の追加」
「成る程。例えば」
「私と健二くんは昔からの知り合い、とか」
「いいですね……あと―――」
「ふんふん、じゃあこれは―――」
「それと―――」























「おーい、そこ!何やっての?」
「「!!」」

直美の声に、二人が大きく跳ねた。






●●

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ