サマーメモリーズ

□09.
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「そう言えば夏希は?」
「あぁ、今何だか栄おばあさんと話しているみたいです。」
「その間君は、」
「あっ、その!僕がどうぞ是非行ってくださいって言ったんです!何だか気を遣って欲しくなくって。申し訳ないですし……」
「ふーん。」

なまえは地面に木の枝で書かれた図やら文字やらを消す。二人で書いた、設定だった。
それを見た健二も、一緒に消す。

「君さぁ、」
「はい?」
















「本当にフィアンセ君になっちゃえば?」
「ブッ!!!」

健二は思い切り咽た。

「突然何言い出すんですか……!」

健二は困りきった顔で両手を忙しなく動かし詰め寄った。

「だって君、絶対いい子だし」
「そんなことないですただ情けないだけですし!それに、いいですか!?」


僕はただのどこにでもいる様な平凡な只の生徒Aって感じで何のとりえもないですし!そんな奴が彼女が出来るってだけでも吃驚なのにそのお相手が夏希先輩だなんて絶対に在り得ないですよ!夏希先輩ですよ?夏希先輩!成績優秀スポーツ万能さらに学校一の美人でまさに才色兼備の夏・希・先・輩・!無理に決まってるじゃないですか!!


ドスドスとなまえの肩を指で突きながら饒舌に語る健二に、なまえは「痛い痛い」と繰り返している。


「解った、解ったからその指止めようか」


「地味に痛いんだよボクシングのボディーブローの要領で」、と両手で降参ポーズをとるなまえに、健二はハッとなってすみませんと謝った。


「取り敢えず案内するよ」
「へっ?」
「家。どうせ暇だし、知っといたほうがいいでしょ?」
「あぁ、まあ」
「だって未来のお婿さんだもんねー」
「……」


ドスドスドスと再び指で突きだした健二に、なまえは「指は止めてっ」と両手をかざした。







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