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来良学園は、南池袋にある共学の私立高校だ。
敷地面積はそれほど広くないものの、限られた面積を最大限に利用したその造りは、在学生に決して狭さを感じさせる事はない。池袋駅から近いという事もあり、東京近郊の人間にとっては在宅で通える高校として近年人気が高まり始めている。偏差値と共に入学の難度も緩やかに上昇傾向にあり、優佳達は実に良い境目に入学する事ができたと言える。

入学式はあっけないほど簡単に終わり、帝人と正臣、優佳はそれぞれのクラスに別れて簡単なHRを行った。


「小鳥遊優佳です。宜しくお願いします」


緊張した面持ちで自己紹介をすると男子がざわざわと騒ぎ始めた
優佳は頬を朱に変え涙目になりながら座ると前の席の男子が笑顔で話しかけてきた


「君、優佳ちゃんって言うんだ?俺は、佐藤 葵よろしくね」


「え…はぁ」


佐藤は優佳に手を伸ばして握手をせがんだ。
その瞬間にも自己紹介は進んでいきいつのまにか正臣の順番まで来ていた。


「紀田正臣よろしく。そこの男優佳にあんまベタベタベタベタ触らないでくれる?」


正臣は笑いながら言ったが目はまったく笑っていなく佐藤はビクッとしながら握手していた手を離すと前に向き直った。

その後はつつがなくHRを終え、隣のクラスとなった正臣と合流する
正臣は派手なピアスをつけたままであったが、周囲の人間と比べても特に違和感は感じない。私服が認められている高校である為か、寧ろ帝人の方が周囲から浮いているような印象だ。
入学式ということもあって三人は指定のブレザーを羽織っているものの、傍目から見れば同じ高校の人間とは思えなかった。


「あー、昨日はお前の引越し作業とかネットを繋げるのとかで一日つぶれちまったからなぁ。今日はどっか案内するから奢れ」


「もー、強情なんだから。竜ヶ峰くん私も半分お金だすからね」


にっこり笑う優佳は凄く綺麗に見えて帝人は頬を染めた。それに気づいた正臣が帝人と優佳の間に割って入った。優佳は正臣が知っている女の子達よりも数倍は綺麗で可愛い。そして風でなびくたび見えるピアスホールがギャップを感じさせる。


「小鳥遊さんってピアスホールたくさん開いてるんですね」


「あー、開いてるだけね。全部正臣に開けてもらったホールだからさ」


ケララと軽く笑う優佳は耳を隠すように髪をいじった
そして話を反らすように話題を変えた。


「どっか行きたい所ある?」


「あ、ええと……本屋って何処にある?」


話題をいきなり変えられたことに驚いたのかどもりながら答えると、優佳は少し考え込んだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
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