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□05,
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次の日 杏里に話があると言われ学校が終わった後、杏里と一緒に池袋の街の中をさまよっていた。


「紀田君に言わなくても、大丈夫ですか?」


「さっきメールしたから大丈夫!今は、杏里が困ってるんだから杏里優先だよ」


そう言うと杏里は控えめな笑顔で優佳に「ありがとうございます」と言うと優佳は満足そうに笑うと、何に困っているのか事情を聞いた。


「あ、いえ。困ってるとかじゃないんです…、ただ贄川春奈ってゆう先輩を探していて」


「贄川春奈って那須島先生と関係がある人だよね?」


「・・・はい」


優佳は頷く杏里を見たあと学校が終わった時よりも暗くなっている空を見上げた。
そして優佳は一番の疑問を杏里に告げた。


「でも、なんで贄川春奈を探してるの?」


「・・せめて関係があった事が解れば……那須島先生を『説得』するとっかかりになるかも知れないと思うんです。
どんな些細な事でもかまわないんです。今はただ、那須島先生を自分と優佳さんから遠ざける為の材料がなんでもいいから欲しかったんです。」


優佳は黙って杏里を見ていると、杏里はうつむいて小さな声で呟いた。


「やっぱり私は嫌な人間ですね。贄川さんの古傷をえぐることになるかもしれないのに、私は自分と優佳さんと那須島先生との間に『溝』を作るために、贄川さんの過去を利用するんです」


「…杏里」


「自分が浅ましい人間だということは痛いほど理解してるんです。でも、失いたくないんです。だから止める気も無いんです。たとえ、贄川先輩を踏み台にしても、優佳さんに嫌われても」


杏里がそう言うと、優佳は驚いた顔になったあとに穏やかに微笑んで杏里の頭を優しく撫でた。


「私の事も考えてくれる杏里を嫌いになるわけないよ。杏里は友達を大切にできるとってもいい子だよ。私はそんな杏里が大好きだよ」


その時、杏里は優佳の顔をみて今にも泣きそうな顔をしたあといつもどおりの控えめな笑顔で優佳にお礼を言った。




「ちょっと、君達」


自分達にかけられた事に気付き、杏里と優佳はハッとして顔を上げた。
すると二人の警官が目の前に立っていた。


「は、はい……?」


「なんですか…?」


杏里と優佳が混乱していると、警官は腕時計を2人に見せながら心配するような口調で呟いた。


「もう11時だよ。学生さんはそろそろ帰りなさい」


「えッ……」


自分達がそんなにも長い間街をさまよっていたとは知らず、優佳は軽い驚きを覚えた。連日の通り魔の事件のせいで、街は警官の巡回が非常に多くなっている。


「あッ……す、すみません!すぐ帰ります!」


「気をつけて帰りなさい」


そう言うと杏里はアパートに向かってまっすぐ歩き出した。
優佳も杏里のあとに続いて歩き出した。

自分達が、誰かに後をつけられてるとも気付かずに。


背後から2人を背を見つめる目は、赤く赤く――
どこまでも、赤く染まり―――
 
 
 
 
 
 
 
 
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