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□12,
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ブルースクゥエア。


黄巾賊と同じく、池袋の周囲を縄張りとしていたカラーギャングだが、黄巾賊と違って年齢の幅も広く、より暴力的な集団だった。
最初は、黄色い布を巻いた集団を見かけたブルースクゥエアの面子が、縄張りがどうこう言い出して喧嘩を売ってきたのが始まりだ。

売られた喧嘩を買った。

いつも通りの事。正臣はそう考えていたのだが、その時は、いつもと違っていた。
相手の数と――その性質が、今まで喧嘩してきた相手とはまるで異質なものだったのだ。


彼らは近づいてくる時は徹底的に身を隠し、確実にこちらが少人数の時を狙って襲撃してくる。
喧嘩の正当性もなにもあったものではなく、機械的に、そして徹底的に『勝てる喧嘩』を仕掛けてくる。
百人を越える仲間達が次々に狩られ、恐怖は即座に黄巾賊全体へと伝染した。


正臣も、今までの喧嘩相手とはまるで違う恐怖を覚えるも、組織戦が不馴れな正臣にとって、相手と同じ闘い方をする事もできず、さりとて、黄色い布を外して黄巾賊を解散させることもできなかった。


仲間達の意見は『やられっぱなしは嫌だ』という者が大半であったし、それ以上に―――

正臣自身が恐かったのだ。

黄巾賊を解散し、今までの居場所を失ってしまうことが恐ろしかった。
同時に、黄巾賊である自分が得たものまで失ってしまうような気がして。

その筆頭である少女の方に目を向けると――
彼女は、いつも通りの笑顔を浮かべたまま、正臣を安心させるように呟いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
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