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□06,
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優佳は視界が霞む中、杏里の瞳を見てゆっくりと瞼を閉じていく。


「ごめんなさい…優佳さん。私が必ず優佳さんを助けます」


杏里のそんな言葉を聞いて優佳は意識を失っていった。


♂♀


切り裂き魔事件に一段落つかせた杏里はセルティに、一刻もはやく優佳を病院に行かせてくれ、と頼んだ。
杏里はセルティが見えなくなるまでずっと心配そうに影で隠された優佳を見ていた。

そして、杏里は一目散に近くの漫画喫茶に入りチャットルームを開いた。



――罪歌さんが入室されました――


{ええと、あの、まんがきっさからにゅうりょくしています}


{いままでどうも、すみませんでした}


{もう、でないとおもいます}


{ほんとうに、すみませんでした}


――罪歌さんが退室されました――



――現在、チャットルームには誰もいません――
――現在、チャットルームには誰もいません――
――現在、チャットルームには誰もいません――
――現在、チャットルームには誰もいません――
――現在、チャットルームには誰もいません――



♂♀



「……小鳥遊さん、目覚まさないね」


病院のベッドで静かに横たわる優佳を見て、竜ヶ峰帝人は心配そうに呟いた。


「畜生……辻斬り野郎め!俺があのときついて行ってりゃこんな目には絶対あわせなかったのによ……」


正臣は真剣な怒りの表情を浮かべる。
二人は杏里と優佳が切り裂き魔に襲われたと聞いて、学校をサボって駆けつけてくれたのだ。

杏里と優佳も入院しているが杏里が普通病室なのに対して優佳は個室の特別治療室に入院しているため、杏里は車椅子で優佳の病室までやって来ている。


「優佳さん…私が刺されそうになったときや車が突っ込んで来たときも必死で助けてくれたんです。刺されそうになった私を助けてくれたとき、きっと頭すっごく痛かったと思います」

杏里は泣きそうになりながら優佳の顔をじっと見ていた。


「…優佳はそういう女だ。自分が大切に思っている奴は何があっても、守り通うとする奴なんだよ。」


優佳の痛々しい姿をみながら正臣は守れなかった悔しさと自分の無力さに腹が立って壁をおもいっきり叩いた。


「これじゃ…あんときと同じじゃんか 守るって決めたのによ」


正臣は2人には聞こえない声で呟いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
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