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「とにかく……臨也さんに関わってから、俺はこっちに戻らないって決めたんだ」


黄色い渦の中心にいる男が、神妙な面持ちで言葉を紡ぐ。
完全な否定の言葉だったが、傍にいた『黄巾賊』の一人が、敬意の欠片も無い声をあげる。


「いや……先輩がいねーと話にならないじゃないっすかぁ。俺ら、ヤクザとか怖いから、数だけいても商売とかなんもできねーじゃないっすかぁ」


次の瞬間――その少年は、隣に居た大柄な少年によって顔面を蹴り飛ばされた。


「…… 将軍って呼べよ」


本気で怒っている少年に対し、中心にいた男はヒラヒラと手を振った。


「ああ、いいって、いーって!今の俺は将軍なんて大層なもんじゃねぇ。ただの平民なんだからよ。いや、平民ってーかただの高校生だから」


そう言って、『将軍』と呼ばれた男――『黄巾賊』の創設者はゆっくりと腰をあげた。


「やれやれ、まさかこんなに大規模な組織になるたーねぇ。ダラーズといい勝負か?しかし……ここまで黄色いと不気味だなあ、おい」


TVドラマの中に出てきた、池袋のカラーギャング。ドラマの中で黄色に統一されていたその映像を見て、彼はチームカラーをドラマと同じ黄色にしようと思い立ったのだが――


「あれ、原作だと黄色じゃねーのな。図書室で借りて初めて知ったよ。びっくりだね」


ケラケラと軽い調子で言うが、つられて笑う者は誰もいなかった。


「そんな事はどうでもいいです、将軍。俺達は……正直な話、ダラーズを疑ってる」


「……」


「将軍もダラーズの一員だってのは知ってるし、他にも何人か被ってる奴もいる。だが、ダラーズは横のつながりが殆ど無い組織だ。ダラーズの中の何人かが、俺達を襲ったんじゃないかと考えてる……俺だけじゃない。他にもそう考えている奴は大勢いるんですよ、将軍」
 
 
 
 
 
 
 
 
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