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□09,
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「俺は優佳がじゃないと駄目なんだよ。……頼む。別れないでくれ」


「うん……、うん。別れないよ。正臣……ごめんなさい 私 正臣が大好き」


「ぐふっ!?」


優佳は正臣に飛び付くように抱きつくと、正臣は優佳に押し倒される形で床に倒れた。
軽く文句を言おうと上半身に乗っかっている少女に顔を向けたが、正臣は泣きじゃくる優佳を見た瞬間、無意識に頭を撫でてしまっていた。


「……お前の欠点はすぐ泣くところだな。」


「あ、……そうかもね」


優佳はクスクス笑うと、正臣は優佳の唇に自分の唇を重ねようと、顔を近づけた。


「え、正臣……っ」



しかし、正臣は止めずに優佳の唇に自らの唇を重ねフレンチなキスからディープなキスに変わっていく。
正臣とのキスは久しぶりなため唇を重ねる時間は、とても長かった。





数時間 エレベーター前の待合いスペースで、正臣は休憩中の女医に声をかけられた。


「あら、正臣君。今日学校は?」


「優佳に会いたくて早引けしてきたんですよ」


「あらあら。優佳ちゃんは幸せ者ね」


「だと良いんですけどね……いつ退院できるんですか、彼女」


かしこまって聞く正臣に、30代と思われる女医は大して深刻さも出さずに答えを返す。


「前に言った通り。しっかり今は歩けるし、背中の傷も治りかけててあとは完全に治るまで安静にしてるだけなんだけど……」


次の瞬間女医は深刻そうに顔をしかめた。正臣は不思議そうに女医を見ると、女医は恐る恐る口を開いた。


「最近精神状態が良くないみたいなの……。一昨日だったか昨日かに来た女の人が優佳ちゃんの病室に来てから、元気がなくて…」


「……女の人?」


「そうよ。そのあとに貴方と毎日一緒に来る男の子が来てからは、人が変わったように元気になったんだけど……」


そのとき、正臣はハッと真っ青な顔で顔をあげた。


「その女って……ショートカットの人、ですか?」


「そうよ。あら?知り合いなの?」


その言葉を聞いた時2年前、臨也が言っていた言葉を、正臣は思い出した。


『そのためにも……君が一番会わせたく無い人――あの子に教えなきゃね?』


――やっぱり臨也さんが……
 
 
 
 
 
 
 
 
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