時渡
□第4章
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早朝。
目が覚めるのが早い者がようやく活動を始めるような、そんな時間。
コキリの森でもちらほらと活動する者が増え始めた、そんな時間だった。
広場に鎮座する森の長、デクの樹の様子がおかしかった。
「ナビィ…
妖精ナビィ…どこじゃ…
ここへおいで…」
デクの樹が呟くと樹の上からヒラヒラと小さな青い光────妖精が降りてきた。
《はいはい、どうしたんですカ?
デクの樹サマ…
Σって顔色悪ッ!?;;
ふ、二日酔いですカ?;;》
樹に顔色があるのか。
あったとして見分けられるのか。
というか酒を飲めるのか。
仮に飲めるとしてどう飲んだのか。
突っ込み所は満載だが、たしかにデクの樹は弱っていた。
弱ったデクの樹の元に舞い降りた妖精────ナビィはいつもと全然違う長の様子にオロオロしていた。
「おぉ…妖精ナビィ…このワシの…
デクの樹の言葉を、聞いておくれ…」
オロオロしていたナビィは、深刻そうなデクの樹の言葉に耳を傾けた。
「お前も感じておろう…?
この世に満ちた悪しき力を…
今、ハイラルはその力に呑み込まれようとしておる…
このコキリの森は命の源…
人の侵略を拒むことで外の世界をも守ってきた…
しかし、この強大な悪しき力の前では今のワシは全くの無力…
どうやら…あの妖精を持たぬ子がたたねばならぬ時が来たようじゃ…」
《は、はイ!分かりましタ!!》
「それと…
先日やってきたネルという子も連れておいで…」
《えッ!?
もしかして、リンクの家に居候してる子ですカ!?
でも、あの子は何モ…》
「いや…昨晩、ワシに呪いをかけた者があの子を捜しておった…
この森におるよりも…リンクと共にいた方が安全じゃろう…
急ぐのじゃ、妖精ナビィ…」
《はイ!!》
ナビィはデクの樹に背を向け、急いでリンクの家の方へ飛んでいった
「あの子たちこそ、このハイラルを善き方向へ導く者…
さぁ、ナビィ…あの子たちをここへ誘うのじゃ…
ワシに残された時間はもう多くはない…
頼んだぞ…」
『っあ゙────────────…』
おはようございます。
朝から根暗よろしくベッドで体育座りしてますネルです。
二日連続で悪夢見たらそりゃ体育座りしてたくもなります|||
『はぁ────────……』
「んー…」
『ん?』
不意に聞こえた僕以外の声。
僕でなければ当然その声は…
『…リンク?』
「んん…んー…」
隣で寝てるリンクさん。
なんかしらんが唸ってる。
なに?
この子も悪夢見てんの?
この家何か取り憑いてんの?
『リ…』
魘されているリンクに手を伸ばした時
ギュン
ドカッ
「Σゴフッ!?」
ドサッ
『…え?;;』
どこからともなく飛来した光(たぶん妖精)が魘されていたリンクにタックル食らわせた
《Hey!リンク!
ねぇ起きてってバ!
デクの樹サマがお呼びなのヨ!
起きなさイ!!》
『無茶言いなさる…;;』
だってリンク床で悶えてるよ?
さっきのタックルどんだけクリティカルヒットだったわけ?;;
『というか…キミ誰?』
僕はタックル妖精に声をかけた。
この子は僕が知ってるどの妖精とも違う。
まあ僕がまだ会ったことのない子の妖精かもしれんが。
妖精は僕にやっと気づいたみたいで、今度は僕の方へ近づいて(というか詰め寄って)きた
《黒髪に夜空と星の目…アナタがネルなノ?》
『え?あ、ああ…あ?』
《エ?》
『………』
無言でそっと前髪を押さえる。
…………うん、見事にハネてるし、全然隠れてないよねコレ;;
『……………見た?』
《え、うン。
…ダメだっタ?》
『い、いや!
そういうわけじゃないよ、全然!!』
ショボンとした雰囲気に慌てて首を横に振る。
べつにダメってわけじゃないけど、あんまり見られたくないんだよね…
『ごm…「イテテ…」!リンク…;;』
「おはよネル…ん?」
リンクが妖精を見て固まる。
《やっと起きたのネ?
ワタシ妖精のナビィ!
デクの樹サマのご命令で、今日からアナタの相棒ヨ!!》
妖精────ナビィが自己紹介をする。
そして
ガシッ!
《きゃッ!?;;》
リンクはそれを捕まえた←ぇ
「やった妖精だ!
やっと僕の所にも妖精が来たんだ!!」
その妖精今にも潰れそうなんだけど?;;
《ま、待って待っテ!放しテ!
デクの樹サマが大変なノ!!》
『!じぃさんがなんだって?』
《デクの樹サマ、呪いをかけられてて大変なノ!
それで二人を呼んでるのヨ!!》
「デクの樹サマが!?大変だ!」
《だから大変だって言ってるじゃン!!》
『ああそういえば…』
最初飛び込んできた時から言ってたね
《早くデクの樹サマの所に行きまショ!!》
「わ、分かった!」
慌ただしげに飛び出していくリンクとナビィ。
みんな元気だねぇ…
僕は低血圧っぽくてどうも朝は…
《「ネル早く!!」》
『へーい;;』