中編
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「え、あの、私の隣の席って蘭丸くんなの?」
「あぁ、ここ35番だろ?ほら、これ見て。」
そう言って蘭丸くんは私にクジの紙を見せた。
そこには確かに35の文字。
まぎれもなく私の隣の数字だ。
「ほんと、だね…その、よろしく。」
どうしよう、霧野蘭丸の隣はヤバイ…。
どうせならまだ神童拓人の隣の方がマシだった気がする…。
拓人くんより、蘭丸くんのファンの方がひどいという話を聞いたことがある…。
「…ん?」
あれって、きっと蘭丸くんのファンクラブの人だよね…。
めっちゃこっち見てんじゃん。
「ハァ……。」
「どうした?ため息なんかついて。」
「え、ううん、なんでもない。なんでもないよ…。」
「そうか?ならいいけど……。」
蘭丸くんには悪いけど、あんまり話しかけないでほしいな……。
私からもあんまり話しかけないようにしないと…。
次の席替えが待ち遠しい。