中編

□4
1ページ/4ページ

連れてこられた場所は前とは違う。




前は体育館裏。



今回は…








体育館倉庫。




美鈴さんとの二人だけならまだ良かった。




でもそこにいたのは……









「……どういうことですか、これ。」






「私の取り巻きですわ。」





そんなことはわかってる。



その取り巻きの持っているものが気になるのだ。





「それは見ればわかります。」





「でしたら聞く必要はないのではなくて?」





そう言って美鈴さんは笑う。




あぁ、うるさい。耳障り。





「その笑い声、どうにかしてもらえませんか?うるさいです。」




私はこんな人たち、もう気にしない。



最初は怖くて、刃向うことなんて考えもしなかった。





でも今は、怖くない。



だって、蘭丸くんともっといっぱい話したい。蘭丸君の傍にいたい。



その思いだけだから…。






「なっ!?あなた、何様のつもりですの!」





「私は私です。相崎莉緒ですが、何か?」




「……勘に障る言い方しますのね、アナタ。」





「それはどうも。」





「相崎さん、今の状況…おわかりになって?」





「えぇ、あなたの取り巻きが私にそのバケツの中の水をかけようとしている。」





「その通りですわ。霧野様に近づかない、話さないと約束してくださいましたら…。」



「お断りします。」





何があってもそんな約束だけはしない。
するもんか。





「ッ!!…そうですか、そんなに水攻めにあいたいのでしたら、喜んでやって差し上げますわっ!!」





ドンッ!




思い切り美鈴さんに突き飛ばされた。


私はその勢いで傍にあった跳び箱に激突して、その場に座り込んだ。




それをチャンスと思ったのか、美鈴さんは取り巻きたちに水を浴びせるよう指示を出した。




「今更後悔しても、遅いですわよ!!」





「後悔なんてしていません、かけたければ…どうぞ。」





そう言って私は目を閉じる。




その直後、私に水が浴びせられた。


ヒヤッとする冷たい感覚。




「あはは、良い気味ですわ、相崎さん!」




水と一緒に浴びせられるのは美鈴さんの容赦ない言葉。




だけど、そんなの気にしない。





取り巻き6人×バケツ2杯。




ようやく水攻めが終わり、私は目を開ける。




「オーホホホッ、すっかりびしょ濡れですわね!!」





「…気は済みましたか?それでは、私これで失礼しますね。」





「なっ…!!」




美鈴さん、取り巻き6人を残して私は体育館倉庫から去った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ