中編
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「たはー、びしょびしょ…。」
とりあえず体育館から出た全身びしょぬれの私は教室へと向かう。
置き去りにした鞄を取りに行くためだ。
「にしても、さっきの私、すごかったなぁ…。自分でも信じられない。」
たぶん、あんな強気になったのはこれが初めてだろう。
どうしてかはわからない……。
…いや、本当はわかってる。
ただそれが信じられないだけで。
私はきっと、蘭丸くんのことが
――好き…。
「相崎ッ!!」
「え、蘭丸くんっ!!」
私の前方からものすごい勢いで走ってくる蘭丸くん。
「蘭丸くん、どうした、の?部活は?」
私は驚きつつもどうしたのかと問いかける。
「お前が美鈴とかいう奴に呼び出されたって聞いて…!!」
「あー、もう終わったから大丈夫だよ?心配しないで?」
「大丈夫なわけないだろ!?びしょ濡れじゃないかっ!!」
「あはは、ちょっと水攻めにあいまして…。」
「着替えは!?まさか、そのままで帰るつもりじゃないだろうな?!」
ギクッ……。
思い切りこのままで帰る気だったんだけどなぁ…。
「今日はジャージとか持ってきてないから、このままで帰るよ……?」
「……ちょっとついてきて!!このままじゃ風邪ひくだろ!!」
「ふぇ、ついて行くってどこに!?」
「サッカー棟!!」
「えぇ!?」