短編

□ポジティブって言葉はご存知ですか?
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ダーゲット…、ロックオン!!





「はやみーん!」



私はターゲットに後ろから勢いよく抱きついた。



「うわっ!な、なんですか円華!?」



ターゲットはとても驚いている。


ひとまず、このミッションはコンプリートだなっ!




…とまぁ、そんなことは置いといて、本題に入るとしよう。




「前から気になってたんだけど、どうして幼馴染の私にまで敬語使うの?」





「は?どうしてって言われても、これが僕ですし…。」





うん、予想範囲以内の回答が返ってきた。



では、次の質問に移ろうか。




「ふーん、じゃぁ、つるりんはどうしてネガティブな性格なんだい?」




「つるりんはやめて下さい。僕まだハゲてないです。」




「必殺、華麗にスルー。で、どうして?」




私は鶴正のツッコミを必殺技で受け流す。




「全然謝る気ないですよね。」




「答えは?」




「はぁ…。元々こういう性格なんです。仕方ないでしょう?」





これも予想範囲内の答え。



ここまでは、順調だ。




「つるりんはそれを直そうと思わないの?」




「そりゃ、直したいとは思いますけど…。」




「じゃぁさ、直そうよ。」




私は鶴正の手をそっと握った。



一瞬びっくりしたみたいだけど、

私の手を振り払う気はなさそうだ。




「そんなの、どうするんですか?」




手は握ったまま、鶴正はちょっと不思議そうな顔をして私に疑問を投げかけた。




私はちょっと間を置いて、




今日の本題中の本題に入った。






「私、鶴正のこと、好き。」




「は……?」




「好き。」




「…意味がわかんないんですけど…。」




「鶴正のこと、男の子として好き。」




「……無理です。僕に円華と付き合う資格はありませんよ…。」




「どうして?」




「僕のこんな性格じゃ、円華を守れるわけがありません。無理ですよ…。」




そう言って鶴正はうつむいてしまった。


でも握った手は離さない。




「鶴正は、私のこと嫌い?」




「き、嫌いじゃありません。むしろ…。」



「むしろ?」




鶴正の、私の手を握る力が少し強くなった。





「円華のことは好きです。でも、僕じゃ守れないから…。」




鶴正はまたうつむいてしまった。



いつもネガティブな鶴正。



そんな鶴正にかける言葉はこれしかない。





「いいじゃん。」




「え…?」




「私、鶴正のそんなところも大好きだよ?
そりゃ、ちょっとポジティブな君も見てみたいけど…、




どんな君でも、大好きだから。」





そして、繋いでいた手を一回離し、優しく、包み込む込むように鶴正を抱きしめた。





「僕、円華のこと、守れないですよ?」



ううん、あなたなら、私を守ってくれる。



「うん。」




「いつもネガティブな発言ばかりですよ?」



ネガティブな君も大好きだよ。



「うん。」




「僕のせいで円華にいっぱい迷惑がかかるかもしれませんよ?」



鶴正のこと、迷惑だなんて思わないよ。



「うん。」



「僕で…、いいんですか?」



そんなの、決まってるじゃない。




「私は鶴正じゃなきゃいや。」




「僕も、円華じゃなきゃ嫌です…。」






あぁ、やっと繋がったこの想い。




ずっとあなただけが大好きです。










「…やっぱ僕には無理ですぅーー!!!」




「へ?」




「僕は気が小さいし、喧嘩も強くないし、すぐ考え込むし!俺には無理ですぅー!!」







…前言撤回。



ネガティブな君も好きだけど、




いまの君に言えるのは、





「ねぇ、鶴正。」




私は鶴正を抱きしめたまま言う。




「は、はい?」




「ポジティブって言葉はご存知ですか?」




「は?」




「鶴正ネガティブすぎる!そんな君も大好きだけど、もう少しポジティブになりなさーい!」




そう言って私は鶴正のことを思い切り抱きしめた。




「ちょ、苦しいですよ円華っ!」




なんて言って慌ててるけど、そんなの私には関係ない。




今後の私の目標、




それは君のずっとそばにいて、

君をポジティブにさせること!









ポジティブって言葉はご存知ですか?



(鶴正、ポジティブになってね?)

(えっと、できる限り…頑張ります…。)

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