ほん
□シェイクより甘い
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「バニラシェイク一つお願いします」
「はい、かしこまりました。少々お待ちくださいませー!」
店員さんの大きな声すら聞こえなくなるまでに緊張してしまっている。
大好きな黒子君と放課後デートを約束したのが朝。黒子君と私で今日返ってくるテストの点数を競って、勝ったら黒子君の部活帰りにマジバーガーに寄っていく。黒子君が勝ったらマジバーガーのバニラシェイクを奢ってもらう。
結果は見事に負けた。国語は卑怯だった。
だからこうしてマジバーガーのバニラシェイクを奢って…。
でも正直それどころではない。黒子君と喋るだけでもドキドキするのに、放課後デートだなんて…なに話せばいいんだろう?好きなものとか?そんなこと聞いてどうする。とりあえずどっかに座んなきゃ
「名無しさんさん、こっち空いてますよ。」
色々考えている間に黒子君はレジにはいず窓側の席に居たので私もそこにお邪魔した。
目の前には大好きな思い人。ついつい見つめてしまう。
普段の黒子君はなにを考えていて、どんなことを思ってるのかは全く分からないけど、バニラシェイクを飲んでいる彼は少し嬉しそうにも見える。そんな些細な変化を見つけるのは楽しい。
「どうしたんですか、名無しさんさん」
「ええっ、何にもないよ!」
「名無しさんさん…」
黒子君は私の名前を呼ぶとすこし真顔になった。
もしかしてじろじろ見てるのが不快だったのかな…。
「名無しさんさん、もしかしてバニラシェイク欲しいんですか?」
「え?」
思いもよらない言葉にびっくりして、目の前にさしだされたバニラシェイクと黒子君を交互に見てしまう。
(てかそれ黒子君が飲んでた…)
「いらないですか?」
「のっ、のむ!」
(間接キスー!)
あれこれ考えながらバニラシェイクに口を付ける
(間接キスしちゃった間接キスしちゃった…)
「おいしいですか?」
「お、おいしいよ!」
ごめん、黒子君。それどころじゃなくて味が全く分かんなかった…。
「また…」
「え?」
「また一緒にきましょうね」
微笑みながらこちらを向いていた大好きな思い人は少し顔が赤かったです。
シェイクより甘い
(名無しさんさんと間接キスしてしまいました…)
間接キスさせて黒子の頬を染めたかっただけです