ほん

□それは言うな!!!
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「名無しさん、一緒にケーキ食べに行くのだよ」


「緑間君正気?」


ケーキなんてこれっぽっちも似合わない高校一年生の緑間真太郎君がケーキを食べないかと誘ってきた。元々変人なのに、今日はそれ以上に変だ。
それと今日はいつも持っている「おは朝」のラッキーアイテムを持っていない。

「あれ?緑間君、ラッキーアイテムは?」


「今日のラッキーアイテムはケーキなのだよ。持ち歩けないから食すことにした。」


ああ。成る程、だからケーキを食べないかと誘ってきたのか。甘い物が嫌いなわけではない。寧ろ好きだから一緒にこの辺のスイーツ有名店に行くことになった。

お店に着くと有名店ってだけあって、人が多い。女性客我殆どだ。195センチの緑間君はこの人混みから見つけやすい。突き出ていて。


「緑間君なに食べるの?」

「お前はなにを食べる」

「んー、ガトーショコラ?」 

「何故疑問系なのだ。俺はモンブランでも食べるか」

 
緑間君が…モンブラン…にあわなさすぎる。


「なにを笑っているのだよ!」

「えー?別にー?あ、すいませーん!注文お願いしまーす」


店員さんにガトーショコラとモンブランを頼んで、物が来るまで雑談する事になった。


「ねえ、何で私を誘ったの?高尾君誘えばよかったじゃない」

「高尾に言うとギャーギャーうるさいから嫌なのだよ。それに男二人で女性客が多いこのお店に来るのは気が引ける」  

「なるほどね…」

「それにお前がよろこ…「お待たせしましたー!ガトーショコラとモンブランです!」

「わあっ!おいしそうー食べよ緑間君!」

「あ、ああ」

「んんーおいしー!幸せ〜」


見た目も味も完璧と言うぐらい。美味しかった。緑間君も結構嬉しそうな顔でモンブランを食べている。

「あーごちそうさまー!緑間君ありがとうね」

「俺のラッキーアイテムの為だ。礼はいらないのだよ。そんなことより口端にケーキが付いてる。そのままじっとしてろ」

「え?んんー」


緑間君はテーブルの端にあったペーパーを一枚取って、私の口端を拭ってくれた。やや強引だった。痛い。

「まったく、名無しさんも女なら身だしなみはきちんとするべきなのだよ。」

「緑間君、けっこー恥ずかしいことするんだね」

「なっ!?ほ、ほっとくのだよ!!」


緑間君赤面。顔がどんどん赤くなっていく。そんな状況に耐えかねたのか、帰るぞ。と一言いってお会計を済ませていた。

「あれ、お会計済ませちゃったの?!ごめん、ガトーショコラいくらだった?」

「別にこれくらいは奢る。」

「あら優しい。今日はありがとうね。ごちそうさまでした」

レジ前でこんなやりとりをしていたら後ろにいたお客さんが迷惑そうだったので私たちはお店を出ることにした。

お店を出たところで思わぬ人に会う。


「あれっ?真ちゃんと名無しさんちゃんじゃん!なにしてんのー?もしかしてデート?」

「適当なことを言うな高尾。」

「またまたぁー!あれ?真ちゃん。今日のラッキーアイテムは?…確か…黄色いハンカチじゃなかったっけ?」


黄色いハンカチ?


「たっ、高尾!」


それは言うな!!!


(へぇー、なるほど。真ちゃんにしては考えたねー)
(お前は少し黙っているのだよ…)
(???)


真ちゃんがおは朝理由にしてケーキ食べに行こうと誘うお話。

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