短編

□微笑む君
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「あ、待って!ちょっ待って!あっ!」

「充分我慢した。
もう、我慢出来ない」

やたら息の多い、
いつもより低い声でそう言われる。

ベットの上に縫い付けられ、
馬乗りされそのまま、
顔中にキスされる。

「……赤司っ!」

やめろ!っと言うはずだった
口は、赤司に塞がれ
至極当然のように
俺の口内に入って来た舌は、
歯列をなぞったり
舌を絡めたりと、口内を犯した。


「んっ…ぁ……っあ…」

俺の耳に届くのは、
はしたない自分の声と
くちゅくちゅという卑猥な音で
まともな思考力が
だんだん奪われていく。

この行為、感覚に
やっと慣れたばかりの俺が
この先なんて、まだ早くて…

でも、
赤司とそういうことを
したくない訳じゃない。

ただ不安と恐怖が拭えなくて、
いいよとは言えないんだ。

もういっそ、
強引に奪ってくれれば…

このまま、赤司が突っ走ればいい。

この事で嫌いになったり
しないから、
俺に同意なんて求めないで
最後まで…

「余所事を考える暇があるとは、
余裕だね」

ぼっーとしながらも、
考え事をしていたのが
バレたのか、そう言われる。

不適に笑った赤司の表情が、
ふと変わる。

「…光樹」

「ん?」

「好きだよ、大好きだ。
愛しくて可笑しくなりそうなくらいにね。
だから、強引になんてしたくないんだ」

真剣な顔で、そう言う赤司は
俺の心の中でも見えてるのだろうか。

さっき考えてた甘い考えを、
バッサリ否定された。

ちゃんと俺に同意させる気だ。

俺が覚悟を決めない限り、
最後までしないんだろうな。

「光樹」

自分の世界に入っていた俺は、
赤司の呼ぶ声で
現実に引き戻される。

そこには、
甘い雰囲気を纏って優しく微笑む赤司がいた。

「光樹が欲しい。
もう、キスだけじゃ足りないんだ」

雰囲気や表情は、
甘く柔らかいのに
獲物を捕らえるような視線に
見つめられる。

こんな時にそんな表情、狡い。
否定なんて出来ない。

俺だって赤司が欲しい。
全部、赤司のものにしてほしい。



もう、全部…任せよう。

覚悟を決めて、息を吸う。

「俺も赤司が欲しい。
だから、…せ……っ…
……征十郎に俺を全部あげる…っ!」

たったこれだけの言葉を言っただけなのに、
顔は熱いし息切れしてるし、
心臓はバクバクしてる。

赤司は、
驚いたようにでも、
満足気に笑って
触れるだけのキスをして、
俺の耳元で囁いた。

「ありがとう、光樹」




【微笑む君】















2012.08.05

続きかけたらいいな。
多分、続きます。

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