BTS-転生しても変わらない-
□勝てる要素のネタ証し
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「まあ慌てるな。俺たちFクラスにはAクラスに勝てる要素がある」
その雄二の言葉には嘘偽りは無いでしょう。
現に私の記憶している「原作」では雄二の言葉は間違ってはいませんでしたしね。
「勝てる要素?」
「ああ。まずは……おい土屋。姫路と音橋のスカートを見てないでこっちに来い」
「「!?」」
「…………(ブンブンブンブン)」
首を横に激しく振る男の子。
私と瑞希のスカートの中を覗こうとする人など、私の知っている中では1人しかいません。
「コイツがあの有名な性職者(ムッツリーニ)だ」
「康太! 何するんですか!」
「なっ……あのムッツリー二か?」
「見ろ、あそこまで否定してるぞ」
「まさにムッツリの名に恥じない男だ」
頬に畳の痕が付いていようが否定を続ける康太を、何故か男子生徒が尊敬の愛で見始めます。
……まぁ、確かに一種の尊敬に入るとは思いますが。
「それに木下秀吉。演劇部員でAクラスの木下優子の双子の弟だ」
「む? そこまでいわれるものかの?」
「あの、木下優子の双子の弟……」
「秀吉、結婚してくれ……」
「まさに男の娘」
男の娘って……まぁ確かに、秀吉の見た目はお姉さんの木下優子をベースにしたような物。異性からではなく同性からモテる傾向にあります。
はっきり言うと、女装をしなくても女装、な感じの男子ですね。
「それに姫路だっている」
「そこは納得だな」
「ああ」
姫路瑞希。
元は学年次席レベルの点数をたたき出して見せた、Fクラスの切り札とも呼べる存在でしょう。
今回は残念なことに体調不良で途中退席だったので、Fクラスに来ましたが。
「そして……音橋だ」
「はぃ?」
「お前のアレ、そろそろ見せても大丈夫だろ?」
……少し考えます。
雄二の言うアレとはつまり、私の秘密であるアレの事。
…………いえ、大丈夫でしょう。このバカ共になら。
そう判断して、サイコキネシスを利用して身体をある程度宙に浮かせて雄二の元まで行く。
百聞は一見に如かず。
聞くより見た方が確実ですしね。
「……ごらんの通り、超能力者だ」
教室が一瞬にして静まりかえります。
嵐の前の静けさとはまさにこのこと。取りあえず私は耳をふs――
『『『『『えぇえぇぇえぇえ!?!?!??!?!?!?』』』』』
…………一足遅かったですか……まあ、無理もないですね。知ってるのは美波と瑞希、あと明久と康太と雄二に秀吉、教員では西村先生と学園長くらいしかいないですし……
まあみんなも知ったときはすごく驚いていましたけどね。
「それにだ。音橋の2つ名は“イーグル”だ」
「な、なんだって……!?」
「実在していたのか!?」
「イーグルって言ったら、情報屋の事だろ? 確か、条件に見合った金さえ積めば何でもやってくれるって言う……」
「噂じゃムッツリ商会の天敵って聞いてたけど……」
詳しいですね。
私、音橋絵里は暇つぶしで情報屋紛いの事をしています。とは言っても、することはムッツリ商会と同じ事ばかりですが。
因みに、イーグルというのはイーグルアイから来ている物らしく、何処までも見渡しているぞーっという意味らしいですね。
「姫路と音橋は点数も高い。主戦力になるだろう。残りは…………吉井明久」
「吉井明久? 誰だそれ?」
「っていうか、吉井って奴うちのクラスにいたか?」
明久、早々と忘れられてますね。
ついさっきまでは“ダーリン”で有名だったんですけど。
「ちょっと、なんで今僕の名前を挙げるのさ! 雄二!」
「分からないのか? だったら教えてやる。こいつの肩書きは観察処分者だからな」
そんなに素直に言っちゃうとまた……
「おい、観察処分者って……」
「確かバカの代名詞って言われてるよな」
「ち、違うよ。ちょっとお茶目な16歳につけられるあだ名みたいな物で……」
「確かに観察処分者はバカの代名詞だ」
「雄二、キサマぁぁぁぁ!!!」
「明久落ち着いて下さい」
「ぐべはっ!?」
一応サイコキネシスで取り押さえます。
多分このまま放っておくと暴れ出しかねませんからね。
「な、何をするんだ! 絵里!」
「明久が暴れ出しそうなので取り押さえましたね」
「よくやった、音橋」
「お褒めに頂き光栄です、雄二」
「話それてるけど、観察処分者って召喚獣の受けたダメージも召喚者にかえってくるんだろ?」
「げ……じゃあろくに召喚出来ない奴が1人いるって事かよ」
Fクラスと言えど鋭いですね。
観察処分者とは、生徒に与えられる特別な称号です。
成績も最底辺、態度も最底辺の生徒に与えられるその称号には召喚獣が特別に物体に触れられるという利点があります。それにより教師達の目の届く範囲での行動及びその他が……
まあ簡単に言うと、悪いことをしたので観察処分者の称号を与えます。
観察処分者の召喚獣は特別に物に触れるので、教師の雑用をして下さいということです。
ただし、その利点には不利な点もあります。
物に触れられる代わりに、召喚獣が受けたダメージの何割かが召喚者に帰ってくるという物です。これをフィードバックと言います。
まあ例として、召喚獣が腕を壁にぶつけた痛み。
それが召喚者にちょっとした痛みとして帰ってくると言った感じですね。
「大丈夫だ。居ても居なくても同じようなもんだからな」
雄二。
明久がマジ泣きしてますよ。
「もちろん、俺も全力を尽くす」
「おい、坂本って小学生の頃神童って呼ばれてなかったか?」
「ッてことは、実力はAクラス並の奴が3人もいるって事かよ」
いいえ。
雄二は“今は”そんなに頭良くないです。
「それならAクラスも夢じゃないかもしれないよな?」
「ああ、システムデスクも夢じゃないぞ」
「おしっ! 打倒Aクラス!」
「よしっ、まずは肩慣らしにDクラスを制圧するぞ!」
『『『『『おおっ!!!』』』』』
「ならば筆(ペン)を取れ! 点数を稼げ!!!」
『『『『『おおっっ!!!』』』』』
『『『『『打倒Dクラス!!!』』』』』
打倒Dクラスの目標を掲げ、Fクラスの士気が最高潮になっていきます。
さて。これから忙しくなりそうですね……