うみねこのなく頃に。「幸福少女の歩く路」

□部屋と第2の晩
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「生憎、今は部屋が空いて無くてな」

部屋なんてあるんだ……。

今はゲームに備えるため、私にベアトが部屋を宛ってくれている。
魔法で増やせよそんなもん、何て言えるはずもない。

「妾の家具、煉獄の七姉妹と相部屋になるが……良いか?」
「……え? あ、うん。OK。大丈夫大丈夫」
「? そうか。では、こちらだ」

そういってまた歩き出すベアトリー……もうめんどくさいからベアト。

「……ベアトってさー……1000年生きてるんだよねー」
「ああ」
「じゃあさ、年齢も1000歳を超え……」

ドゴンッ!

……私の足下に花瓶が落ちてきた。

「何か言ったか?」
「いえ、滅相もございません」
「そうか。なら良い」
「……」

年の質問は禁句なのか……気を付けよう。

「ついたぞ」
「へっくちっ!」
「嚔で返事をするのか?変わっておるな」
「今のはタイミングがへっくちっ! よかっへっくちっ! ただけへっくち!」

4回連続? ……これは……

「……明日は雨がふるな」
「お主の嚔は明日の天気を占う物なのか……」
「え? ……どーだろ」
「とにかく入るぞ」

そしてノックをしてからはいるベアト。意外に常識的だな。

「ベアトリーチェ様? どうかなさいましたか?」
「うむ。今日から相部屋させて欲しい奴がおるのだ。良いか?」
「はい。問題ありません。で、どちらにいるのですか?」
「うむ、ここにおるぞ。ミキ、入ってこい」

そう言われたから入る。一応、私は部屋の前で待っていたんだぞ!

「右代宮海希というやつだ」
「ミキって呼んで下さい。これからよろしくお願いします」

礼儀正しく挨拶。私は唯一の常識人だもの。

「煉獄の七姉妹の長女、ルシファーだ。よろしく」

そして握手。

「あとから私の妹たちも紹介する。それと……殺されないように」
「?」

何? え? まさか、抉られたりはしないよね……そうだよ。抉られたりはしない……はず。

「お前達、同居人だそうだぞ」
「何々?」
「きゃ〜! 抉って良いのぉ?」
「やっちゃえ!」

……うわ〜お、何この展開……

っていうか、杭が飛んでくるよ……あれは多分、アスモデウスじゃないの?

そう思いながら飛んできた杭を掴む。ふっ……

「し、真剣白羽取り!?」
「この場合、杭白羽取り?」

どうでも良いんだけどね……

「お前達、この子はベアトリーチェ様の対戦相手なんだから抉っては駄目よ」
「「「「「「え〜」」」」」」
「え〜じゃないでしょう……あ、そうだ」

こういう時のためにってベアトに持たされた物が……白い○人……

なんでやねん……『一応土産として渡しておけ』……なるほど。

「と、取りあえず……お土産なんですけど……」
「それを早く言いなさいよ!」
「ベルゼ! 1人で食べないでよね!」
「そうよ! 私達も食べるんだから!」

……

「でも、そんなにお菓子ばっかりにがっついてたら太るっておじーさまが言ってた。ベアトリーチェが太ったら嫌いにはならないけど嫌だなぁって」

ピタッ!

「わたしはもう……やめておく」
「わ、わたしも……」

そう言って、あのベルゼブブでさえも、食べることを止めた。

「ベアトリーチェの所ってどう行くの?」
「ベアトリーチェ様の所に行きたいのならベアトリーチェ様の所に行きたいと思えばいい」
「ん〜っと……やっぱり怖い」
「はぁ……私に捕まって」
「ん」

……なんか私子供じみてる……ホントの話し、マジデ怖いッス。

次の瞬間……黄金の蝶が舞ったと思ったらベアトがいた。

「すご……」
「ベアトリーチェ様。ミキがベアトリーチェ様の所に行きたいと申しましたので……」
「何か用か? ミキ」
「家にいた猫出せる?」
「猫?」

コクッと私は頷く。

「そうそう……なんか、みんな年離れてるし……」

精神年齢は超えてるけどね☆

「……お前も苦労してるな」
「泣くよ? 本当にないて良い?」
「泣くな! 全く……魔法を否定するくせに魔法に頼るとはな」
「……………あぁ……成る程」
「その事考えてなかったのか?」
「(コクッ)」

……私バカだ……

まぁ、いいや……っていうか、私魔法使えるじゃん。

「ふっ……もう遅い」
「頭は大丈夫なのか?」

失礼な。

「もーいーよ、やってよ。やっちゃえよ、お前何されてるのか分かってないだろ」
「何されてるかって……妾は何かされておるのか?」
「べーつーにー」

もう、知らないんだからね!

「ほら、猫だぞ」
「よくぞ来た! 我が相棒のジェイソン!」
「がおっ!」
「……お主、それ猫じゃないぞ」
「ん? 何を言う。これぞ癒しの中の癒し、猫! 正式名称はホワイトタイガー!」
「いや、タイガーってついてるぞ」

おおう、ルシファー。会話に参加してよ。びっくりするじゃないか。

「しかもジェイソンって……」
「え〜。だってコイツ、いっつも口の周り真っ赤だし。チェンソー持ちたそうな顔してるし」
「「絶対そいつ人間食ってるな」」

全く……分かってないなぁ。
これだから時代遅れの人達は……

「ま、いいや。ジェイソンに会うのも久しぶりだし。おおう、憂い奴」
「がおっ!」

ガプリ!

ダラダラダラダラ…………

「己、お前さてはどこかで血の味を知ってきたか……良かろう。私がもう一度調教……もとい、しつけをしてやる」

LET’S FAIT!



-数分後-


「全く……私に勝とうなんて10年早い」
「がぅぅぅぅぅ」
「まさかトランプで勝敗を付けるなんて」
「ある意味凄いな、ミキは……」

だってめんどくさいし。

「ま、将来の職業希望はニーt……じゃなくて、自室警備員」
「ニートだぞ。それ、もう言い直しの意味になってないからな」
「ま、とにかく……第2の晩をそろそろ始めようじゃないかね、ワトソン君」
「ワトソンではない。妾はベアトリーチェだ」
「いや、もうめんどくさくて」

人生の2/3はめんどくさい。
……でも、この世は矛盾ばかりだ。


私の存在自体が、矛盾。

「チェス盤はとっくに準備してある。では、始めようか……第2の晩を……!」

曖昧。

全てが曖昧で、全てが矛盾で、全てが狂ったこの世界。


「じゃあ、始めよっか」

私は狂ったように明るく、道化を演じてみる。
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