あなたといたい。改訂版

1。改訂版


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「一柳さんにですか? 世田谷のヤマって女子高生の制服を切るって、やつですよねー?」
 この語尾を伸ばし気味に話す、いかにも今どきなヤツは、如月公平。北海道出身。一見すると合コン好きのチャラ男。だが、その実正義感は強く柔道も黒帯、足も早い。まあ、コイツは発展途上というところだな。

「そうよ。何? 如月。何かあるの?」
「いや、あるって訳じゃないですけど。大丈夫かなと思いましてー」
「ボス、如月の心配するのも無理ありませんよ。異動したばかりの一柳とチビで大丈夫ですかね? ああ見えてもチビは女ですし、こういう事件に敏感に反応する傾向がありますよ。キレて暴走する可能性も考えられる」
 この、賛成しかねると言わんばかりの渋い顔でやって来たのは明智誠臣。東京の世田谷区出身。真面目で堅物の心配性。意外とむっつりだったりもする。うちの課にいた桜井翼と結婚したうちの課、唯一の妻子持ちで料理や家事が得意な男。元S.A.Tのエースだった。ある事件から撃てなくなり、うちに来た。

「前回の警護を見ても、確かに一柳は優秀ですが」
「まあねえ。明智の心配も分かるわよ? だけど他に適任がねえ」
「あの事件って今のところ被害が服だけって事で、うちにまわって来たんですよねー」
「確かに如月が言うように今は怪我人は出ていないが、いつエスカレートするか分からないだろう?」
 如月が明智に『そうですよねー』と頷き思案顔になる。

「心配ですよねー。チビも、強いは強いですけど……。何なら俺、チビと代わりましょうか?」
「何言ってるのよ。如月。アンタには明智と一課の応援、行ってもらわないと。あっちはチビ助じゃダメなのよ。向こうの係長から『新人捜査員以外で』って言われてるの」
 こいつ等の心配は、俺も危惧する所ではあるが。

「かといって、小笠原とチビ助じゃねえ。チビ助がもし暴走したら、小笠原じゃ止まらないわよ。小笠原と一柳じゃ、きっとこの引きこもりが出ない」
「無理」
 このボソッと発言したのは小笠原諒。愛知県出身。両親共にテレビや雑誌でも活躍する超有名な大学教授。元華族の家柄の金持ちセレブ。理系眼鏡の風貌通り、頭脳明晰だ。得意分野は、情報収集や分析及び、パソコンの類い。そっち関係は、こいつに任せている。今は幾分マシにはなって来たが、多少社会人不適格要素があり、科学警察研究所からうちへ飛ばされて来た。

 コイツ等が、俺の部下達。癖はあるが人間性は信用出来るし、皆それなり優秀な連中だ。

「やっぱりねえ。はぁ……。仕方ないわね。まあ、一柳は桂木さんが信頼する位だから大丈夫だと思うわ。信じましょ」
「そう言えば、桂木警部って射撃でオリンピック出てて【日本一のSP】って言われてる、すごい人なんですよねー?」




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