あなたといたい。番外・リクエスト編

□君と時を重ねて。
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 運転手さんがびっくりして、止めに入った。なまえの母親は『アタシの子に何しようがアンタに関係ないだろう!』と言って口論になった。海司ん家の家族と裕子さん家の先生が騒ぎを聞き付け出て来て『アンタのしてる事は幼児虐待だ。止めないと警察と児童相談所に通報しますよ』と言うとなまえに唾を吐き帰って行った。
 先生がなまえの手当てをして『あの様子じゃ、今夜帰ったら大変だろう。ここに泊まるか?』となまえに聞いた。なまえは『大丈夫。いつもの事だよ。目立たないようにうまくやるよ』と言った。『でも──』と心配するみんなに『ヤバくなったら逃げて来るよ。その時はお願いします』そう言い、ニッと笑った。まだなまえは九歳なのに大人みたいに見えた。オレはそんな風に無理しなきゃならないなまえが心配だった。この頃、なまえは口癖のように『早く大人になりたい』と言ってたが、オレもその時、強く同じ事を思った。






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