あなたといたい。(21。〜 )

□35。
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──本編35。
  チャイナナイト。──


 前回のハロウィンイベントが好評だったので、またイベントが開催されることになった。しかも今回はハロウィンの日ではなく、冬の真っただ中になった。なぜ、安全教室をわざわざ冬の寒い中やるのかなど、疑問なところではあるが……。そしてまたも捜査室に依頼が来て、オレ達に白羽の矢立った。おかげで、休日出勤中する羽目になり、変な恰好をさせられてる彼女は嘆いた。

「室長ぉー。これはあんまりでしょー。本当ですかぁ? ほんとーーに、これでやれとぉ? 幾ら何でもぉ、これはないっしょ。僕、いい年して恥ずかしいですぅー!」
 幼稚園児の格好をした彼女は、頬を赤らめ不満そうだ。

「しょうがないでしょう。それでって話なのよ」
「おチビちゃん、大丈夫だよ。すごく可愛い。ねぇ、昴くん」
「ええ。なまえは何でも似合うんで」
「えーこんな格好、恥ずかしい。いやだぁ! それに、これ寒い。生地がかなり薄いよ?」
「寒い? そうねえ、今日冷えるし、このぺらぺらじゃねえ。そのあたりは文句言っとくわよ。でもアンタ、本当に可愛いわよ。チビ助が童顔なのは知ってたけど……正直、ここまで似合うとは思わなかったわ」
「えーそんなん言われてもなぁ。こんなのやだなぁ。なんでぇ? 恥さらしじゃん。ああ、もうー最低。はぁあぁ」
「まあ、まあ、そんな事言わずにさ。これも仕事だと思って頑張ってちょうだい。ね? ああ、寒いんだったわね。とりあえず……ほら、お父さんのコート。ちょっとの間でも、はおっときなさい」
 室長がコートを脱ぎ、彼女の肩に掛け着せた。

「はぁー。あったかーい、でも、借りてていいの? お父さん、寒くないの?」 
「私の事は、気にしなくていいわよ。出番まで着てなさい。お父さんは大丈夫よ。私は燃える男なのよ。あっはは」
「燃えてんのー? お父さん、燃える男か。ふふふ。じゃあ、借りとく。ありがと。でもさ、可愛いとかは、うそでしょうー。絶対バカにしてるでしょう?」
「してないわよ。本当に可愛いって。ねえ? 明智」
「そうですね。ボスの言う通りよく似合ってるぞ」
「ほんま、ほんま」
「きみ、本当に似合うよ」
「チビー。お前、気を付けないと悪いおじさんに連れてかれちゃうぞ。幼女誘拐。いいか? 【いかのおすし】だからな。いかない、のらない、おおきなこえをだす、すぐにげる、しらせるだぞー」
「ばか! 如月さんのばかっ! 知ってるよ。つーか【いかのおすし】は今日も歌わされるんだぞ。こんな格好でぇ。もう! だいたい僕は幼女じゃないんだから! 幼女とか、変態みてーなこと言うな。キモい!」
「あら、チビ助。それはさ、仕方ないわよ。如月は今日は変態さん役なんだから」
「適材適所。ぴったり」
「えぇー? ぴったりって。小笠原さん、それは──」
「それはいいけど。穂積、何で俺まで誘拐犯役?」
「えっ? それはいいって。小野瀬さんまで……」
「あーら、娘が頑張るんだからアンタが頑張るのは当たり前でしょう? 小野瀬、アンタ。チビ助のお母さんなんだからね?」
『ああ、なんか俺、スルーされてる。なんで? ひど……』と如月がブツブツこぼすが、会話は途切れることなく続く。




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