short story

□夏祭りなのに全然楽しくない。何故って? 聞くのかこの天然ヤローめ…!!by健太郎
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「翔――――っ! 蒼――――っ!」
「どうした? 蜜柑」
「凄いテンション高いね。何かあったの?」
「明日の夜にある夏祭り、一緒に行こ――――♬」
『OKOK!! 浴衣着用か? ってか上手くハモったなー(翔・蒼)!!』





 相変わらず仲がいいようで。この光景を普通ならあの3人が黙って見ているはずがない…と思ったが、何故か今日は殺気を感じなかった。
 今回のナレーターは俺・持ち上げだ。でもいちいち持ち上げ書くのめんどいらしいから名前を変えて次の文を書くらしい。
 えー…作者が考えた俺・持ち上げの名前はっと。何々? 「健太郎(仮)」? (仮)って何だ(仮)って!!!
 おっと、こんなことで嘆いている暇はなさそうだ。あっという間に帰りのHRが終わってしまった。そろそろ寮に帰らなければ。





「健太郎(仮)ー? そんなとこで何ブツブツ言ってるん?」
「ん? …あぁ星なしか」
「星なしちゃうわ!! もうウチはダブルやもん!!」
「へいへい。つかお前、明日棗さんたちと夏祭り行くのか?」
「当たり前やん! 棗にルカぴょんやろ? 蛍は当たり前やし…あと翔と蒼も!」





 早速健太郎(仮)って呼ばれてます俺。あぁー…いつも持ち上げ呼ばれてたからかな、慣れねぇ…。
 やっぱり星なし…おっと、これを言ったら佐倉に殴られるな。やっぱり佐倉はいつものメンバーと行くようだ。
 しかし…何かが足りない。そう思って佐倉がいつも一緒にいる人物を思い返してみた。
 まずはじめに大親友の今井。それに最近だんだん空気が柔らかくなってきた棗さん。佐倉に片思いしているだろう流架さんに佐倉の双子の弟である翔さん。翔さんは棗さんたちと同じくらい威厳があってカッコイイんだよなー。あとは佐倉の幼馴染の蒼さん。蒼さんは怒らせると冷静に脅しをかけてくるから怖い。威厳があってカッコイイが。
 あ、あとひとりいた。――――――白羽紅葉だ。アリス学園中等部A組の、つまり俺らのクラスの担任である白羽花楓の実妹…。
 そいつは誘わないのかと訪ねてみると、佐倉に笑顔でにらみ返された。こういう時だけ怖い。





「紅葉? あいつを誘うと思う?」
「佐倉、標準語…」
「あぁ…あいつの話の時だけこうなるから♪ あまり私をイラつかせないでくれるかしら?」
「……………へいへい」





 はっきり言って紅葉さんは花楓さんと同じボカロオタクだ。佐倉が受けた被害は相当だと見受けられる。
 彼女が紅葉さんを誘わないのもなんとなく理解できるような気がしてきたぞ? まぁ…あんな人じゃあなぁ…。
 転校してきた早々、棗さんに向かって『蜜柑ちゃん、この人ってツンデレなの?』と爆弾発言をかましたこともあったっけ。
 佐倉が思いっきりラリアットかましてたけど。その時の棗さんのオーラに流石の佐倉も振り向けなかったらしい。
 




「あ、そろそろ帰らな!! また食堂でな、健太郎(仮)!!」
「いや、食堂では会っても話しかけんなよ?」
「え、何でや?」
(そんなの棗さんと流架さんと翔さんと蒼さんと今井の視線が怖いからに決まってるだろうが!!)





 そして佐倉は頭にハテナマークを浮かべながら走り去っていった。―――――――嵐の元凶が去っていく。
 そんなことが有りながら、1日が過ぎるのは早いもので、あっという間にもう就寝の時間になってしまった。
 俺も明日の夏祭りはほかのグループと一緒につるむことになっている。なるべく紅葉さんにはかかわらずに行きたい。
 絡まれると、幼馴染である佐倉でも対抗するのは難しいらしいからな。触らぬ神に祟りなし。
 そして俺は眠りについた――――――――――――…。








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