short story

□憎い憎いあの男、できることならいっそ―――――
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―――




「君はどうして守ろうとするんだい?」


 別に、そんなのはお前に関係ない。私に関わるな、話しかけるな。―――――ただ、それだけの強い気持ちが私にはある。
 このいやらしい、憎たらしい男に対する―――――憎しみや、恨み。そんな気持ちも私の裏には隠されているんだろうと思う時がある。
 実際、それは本当だったようだ。……私の両親を奪ったこの男に対する闇色の気持ちは、いっぱいいっぱいに広がっていって。


「君は、ずっと僕の駒でいればいい―――――」


 いやらしい笑みを浮かべ、彼は語る。ただ自慢げに、昔あったことまで全て、英雄談のように堂々と語る。
 私の父親を殺した時の話でさえ、私の父親を悪者へと変えていくストーリー構成で。真実を語らないこの男に真実は必要ないのだと思った。
 こいつだけは、絶対に許してはならない。―――――その思いだけ、ずっとずっと心に残っている。


「君は、記憶をなくしてもなお、"仲間"を守ろうとするんだね」


 記憶がない? ―――――誰が記憶がないって言った? 私にはれっきとした記憶が脳に刻み込まれているさ。
 記憶がなかったら、ここまでお前に反抗したりはしないだろう。純粋にお前を信じ、そして疑わなかっただろうな。
 ―――――お前が私を使って企もうとしていたことは、私の記憶が消去されていなかったことから不可能に逆戻り。ああ可愛そう、可愛そう。


「あなたに尽くすのも、もう飽きたわ」


 飽きたおもちゃは、要らないものに等しい。
 ―――――――――――――――――私は、そのおもちゃを手でぐしゃりと潰しました。




*end...

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