短編

□宝石の姫と若き剣士達
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「当然だろう」

コバルオンは、イヴの姿や持っている力で、彼女のことを『神を墜とす一族』だと思っている。
その為、いずれイヴが自分達や他の魔獣達を滅ぼす存在ではないかと、懸念していた。

「それでも、もうイヴのことを、そこまで警戒してないじゃない」

「……」

コバルオンは答えない。
イヴを完全に受け入れていなくても、仲間として認めているのはすぐに判った。

「セレビィ、僕と戦ってよ!」

コバルオンを見ていたセレビィに、ケルディオが言った。

「…いいけど。でも、あたしは強いわよ?」

「勝つのは僕だ!」


その後、セレビィとケルディオは、近くに滝のある川で戦うことにした。
流れ落ちる水しぶきが、離れて見ているアブソルイヴ達にも飛んできそうだった。

「行くぞ、セレビィ!」

ケルディオは〈アクアジェット〉で先制攻撃を仕掛ける。

「はあっ!」

セレビィは〈リフレクター〉を使い、ダメージを半減させる。

「今の技で防がなくても、水の技は殆ど利かないけどね」

笑ってから、セレビィは〈マジカルリーフ〉を放った。

(ビリジオンと同じ…!)

先程戦ったビリジオンと同じ技に、ケルディオは一瞬驚く。
が、透かさず〈アクアジェット〉を使い、鋭い葉の中を突き進んだ。

「同じ技でやられる僕じゃない!!」

ケルディオは両前脚をクロスさせ、セレビィに〈シザークロス〉を放つ。

「ぐっ…!!」

草とエスパーのタイプを持つセレビィには、虫技の〈シザークロス〉は効果抜群だった。

「驚いたわね。そんな技まで使えるなんて…」

「セレビィの苦手な技は、まだ使えるよ!次はこれだぁっ!!」

ケルディオは〈つばめがえし〉を放ってくる。
アブソルイヴと同じく、ビリジオンから教わった技だ。

「必ず当たる技ね。さっきの〈シザークロス〉もなかなかの威力があったけど…」

迫るケルディオを見て、セレビィは微笑んだ。

「まだまだ甘いわ」

セレビィは口を大きく開け、〈ときのほうこう〉を至近距離から放った。

「な…!?」

予想外の大技に、ケルディオは受け身を取ることも出来ずに吹き飛ばされ、滝に激突した。

「ケルディオ!」

アブソルイヴは川に入り、ケルディオに駆け寄った。

「しまった…。あたしとしたことが、思わず本気を出しちゃった」

その場に座り込んだセレビィは、荒く呼吸する。

「ちょっと、やりすぎだったんじゃねぇのか?」

テラキオンが咎めると、セレビィは軽く手を上げる。

「そうね…。ケルディオには早過ぎだったわね、今の技は」

〈ときのほうこう〉は、ディアルガのみが使える固有技。
身体にかなりの負担が掛かってしまうが、セレビィもこの技が使える。
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