SILVER DANCE

□第2話
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「わっはっはっ。用と言うのは、他でもない」

スケット団の部室に、校長の唐松源三郎が来て言った。

「今度、孫の吉彦の誕生日なんだが、また紙芝居を作って欲しいんだが…」

「紙芝居?」

『なんだかんだで、以前の桃太郎も気に入ったと言っていたな』

以前、大幅にアレンジをした桃太郎の紙芝居に、校長は嫌な顔をしていたが、吉彦は気に入ったと言う。

「個人的な頼みだから、吉彦が気に入ったら部費をアップしてあげよう」

「マジっスか!?やった!!」


「さてと、今度はどんな話にすっか」

『前回の桃太郎は和風の話だったからな。今回は、洋風にするのはどうだ?』

「おっ、それええやん!」

「洋風なら無難に、シンデレラとか白雪姫にするか?」

テーブルに置いてあるクッキーを食べながら、ボッスンが言った。

『それだとオチが似通っていると思うぞ』

スイッチはダメ出しのように言う。

「ほな、何がええねん」

「じゃあ、オズの魔法使いはどうだ?ビスケット・ダンスでもやってたし」

『賛成だな。登場人物も多く、いじりがいがありそうだ』

「なら決まりやな」

「よし!オズの魔法使い、改変作戦スタートだ!!」

【アメリカのカンザスに、ドロシーという女の子が】

『意義あり!』

桃太郎の時と同じく、始まってすぐにスイッチが発言する。

「早っ、今回もまた、始まって数文字だぞ!!」

「何の問題があるんや。地域は変えたらアカンで」

『地域は変えない。が、ただのアメリカにする必要はないんじゃないか?』

それを聞き、ボッスンとヒメコは頷き合った。

「そうやな。もっとこう、未来的な感じにした方がええかもな」

「…よし、こんな感じでどうだ?」

【近未来のアメリカ、ハイテクシティ・カンザスに、ドロシーという女の子が愛犬のトトと】

「お!SFっぽくなったやん」

【OG‐3型とおばあにゃんと住んでいました】

「ちょお待てえ!!」

登場人物に、ヒメコは透かさずツッコむ。

「桃太郎の時と同じ登場人物やないかい!」

「いいんだよ。吉彦個人に見せんだから、知ってるキャラがいりゃ面白ェだろ」

「おじさん、おばさんとちゃうやんけ!!」

【ある日、特殊気象衛星のトラブルから来る電磁波で、巨大な竜巻が発生してしまいました】

「何やねん。特殊気象衛星って…」

【ドロシーとトトは、家ごと竜巻に飛ばされてしまいました】

「ここは普通やな」

【OG‐3型とおばあにゃんは、ラスベガスのカジノに行っていたので無事でした】

「はい意義あり!!」

カジノに行っているOG‐3型とおばあにゃんのイラストに、ヒメコは叫ぶ。

「ドロシーが大変な目に遭っとんのに、何やっとるんやこいつら!!」

「いや、カジノで金を稼いで、家をリフォームしようとしてたんだよ!」
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