月の残像

□第3話
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翌朝、新八と神楽は、万事屋を出た。
昨日は1日、銀時の帰りを待っていたが、結局銀時は帰って来なかった。

「昨日は結局、銀ちゃん帰って来なかったネ…」

「うん。1日経っちゃったけど、早く捜しに行こう!」

「そうアルナ」

2人は、定春を連れて、木刀と書簡が落ちていた神社の近くに向かった。

「この手紙…。何が書いてあったかはよく分からないけど、銀さんの知ってる人から来たのかな?」

新八は、所々読めなくなった書簡を見る。

「でもそれ、差出人の名前とか、どこにも書いてないネ。何で銀ちゃん、そこに行ったんだろ…」

「確かに…。字は、ひらがなばっかりで、子供が書いたみたいだ」

「わん」

神社の近くに行くと、定春が吠えた。

「どうしたアルか?定春」

「あ!桂さん…」

神社の境内に、桂の姿があった。

「ん?新八くん、リーダー」

「ヅラァ、何してるアルか?」

「ヅラじゃない桂だ。昨日、刹那から聞いたんだが、銀時がいなくなったらしいな」

「はい…」

新八は頷き、書簡を取り出した。

「あの、桂さん。この手紙、誰からか分かりませんか?名前が書いてなかったんですけど…」

「どれ…」

桂は書簡を受け取り、字を見た。

「…すまん。誰が書いたものか分からん」

「そう、ですか…」

「手紙の内容がどうあれ、あいつがそう簡単にやられはせん。おまえ達も、分かっているだろう?」

書簡を返し、桂は静かに笑った。

「銀時がいなくなって、まだ1日だ。俺も一緒に捜そう」

「いいアルか?」

「ああ」

「でも、桂さん」

「桂ァァァッ!!」

新八が言いかけた時、土方と沖田が叫びながら走って来るのが見えた。

「む、真選組!?すまない、新八くん、リーダー!先に捜していてくれ!!」

それだけを言うと、桂は逃げて行き、境内には新八と神楽、定春が残された。


長時間眠っていたこともあってか、銀時は夜明け頃に目を覚ました。
横を見ると、白哉が寝ており、眠っている姿をぼんやりと眺める。

「……」

目を覚ます少し前に、何かの夢を見ていた気がする。
どんな夢だったかを思い出そうとした時、軽い頭痛が起こる。

「つっ……」

頭を押さえて起き上がると、窓辺に行き、外を見た。

「……銀時?」

振り返ると、白哉が布団から上体を起こしている。

「悪ィ、起こしちまったか?」

「いや。…どうかした?」

「おまえのそばにいるのが……、すげー久しぶりに感じてな」
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