月の残像

□第4話
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「銀時を見た!?」

「ああ」

「どこで見たの?晋助さん」

桂と刹那は、昨日、銀時を見たと高杉から聞き、人気の無い神社に集まっていた。

「江戸から少し離れた所だ。遠目だったが、多分あいつだ」

「江戸から少し離れた所か……」

「どうして、そんな所に?」

言い合う桂と刹那を見ながら、何かを考えるように、高杉は煙管を吸う。

「…どうしたの?」

「…あいつの様子が、何かおかしかった」

「おかしかった?」

「銀時は一度、俺を見た。だが、もう一度見ようとはしなかった」

昨日の朝、船から銀時の姿が見えた。
見つめていると、一度振り返り、自分のことを見た。
が、すぐに何事もなかったかのように、行ってしまった。

「高杉に気付かなかったんじゃないのか?」

「それか、よく見えなかったとか」

高杉は、黙って立ち上がる。

「俺が見たのは、それで全部だ」

「そうか」

「あのガキ共にも、後で言うんだろ?…早くした方がいいかもな」

「え?」

「俺の想像だが、早く捜した方がいい。銀時が危ねェ気がする」

そう言うと、高杉は去って行った。

「銀時さんが危ない…?」

「刹那、今のことは俺が伝えに行く。おまえは、高杉と一緒に銀時を捜してくれ」

不安そうに呟く刹那に、そっと言った。

「あいつも、口に出していないが、銀時を捜しに行くつもりだ」

「……うん。分かった」

桂は万事屋へ、刹那は高杉について行き、全員その場を後にした。


「リーダー、新八くん。いるか?」

高杉達と別れた桂は、その足で万事屋に来た。
途中で真選組に追われ、少し遠回りをしたが……。

「桂さん!どうしたんですか?」

「何か分かったアルか?」

「昨日、高杉が銀時を見たらしい。江戸から少し離れた所で」

「本当ですか!?」

「すぐ行くネ!」

「まあ待て。それより、中に入れてくれ。さっき、真選組に追われていたんだ」

桂を中に入れ、2人は改めて桂の話を聞く。

「高杉は、遠目で銀時を見たと言っていた。が、何か様子がおかしかったらしい……」

「様子が!?」

「詳しくは言っていなかったがな」

不安げに俯く新八と神楽を、桂はじっと見る。
銀時が心配でたまらない、という感情が伝わってくる。

「銀時の身に、何が起きているのかは分からん。だが、それでも行ってみるか?」

「…行きます!」

「当然ネ!」

「そうか。なら、行ってみるか!」

「はい!」

「ウン!」

新八と神楽は、力強く頷いた。


外に出た3人は、裏通りを歩いた。
理由は、桂曰わく、真選組に見つからないようにらしい。

「高杉が見た場所は、電車で数十分。そこから歩いて、数分の所だ」
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