月の残像

□第6話
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「うぅ……」

桂達の姿を見てすぐ、強い頭痛が銀時を襲う。

「銀時、どうした!?」

「大丈夫ですか!?」

「しっかりするネ!」

5人は驚き、銀時に駆け寄る。
砂浜に手をつき、銀時は激痛のなか、ぼんやりと浮かぶ記憶を必死で手繰り寄せる。

「うあ…ぁ…っ!!」

突然脱力し、頭ががくんと下がった。

「銀時…」

小声で桂が呟くように言うと、銀時は顔を上げる。

「ヅラ…。刹那、高杉…何で、こんなとこにいんだ……?」

汗を滲ませ、荒く呼吸をしながら銀時は訊いた。

「銀時さん…!思い出したの!?」

「……少しな。あと、ぼんやりしてて…曖昧だけど」

薄く笑い、刹那を見る。
目線を動かし、新八と神楽の方を向いた。

「…それより、おまえら……誰だ?」

「え……」

その一言に2人は凍りつく。
昼間聞いた、もう聞きたくなかった言葉を、また聞いてしまった為に。

「こいつらのこと、分かんねェのか?」

2人を指差しながら高杉が訊くと、銀時は静かに頷いた。

「誰なんだ?あと、おまえらを見るのが、すげー久しぶりに感じる…」

記憶がほんの一部しか戻っていないせいで、周りのことに動揺する。

「どの位、思い出したんだ?」

「…俺達3人が刹那を見つけて拾ったのと、戦に出て戦ったのと…。あとは……」

続けようとした時、再び頭痛が起こる。

「うっ…!」

「銀さん!」

「…その位だ。思い出したのは」

苦しそうに呼吸をしながら答えた。

「銀ちゃん…」

神楽は声を掛け、新八と一緒に銀時の前に行く。

「私達のこと…、やっぱり分かんないアルか?」

「3人で、万事屋やってきたじゃないですか…!」

「万事屋ァ?なんだそれ?おまえらと、そんな訳分かんねーことしてたのか?俺……」

万事屋が何なのかは判らない。
が、話を聞いていて、白哉の言っていたことと矛盾していることに気付いた。
考えようとすると、先程よりも強い頭痛に襲われた。

「ぐっ…あぁ…!!」

砂の上に倒れ込み、銀時は頭を抱えた。

「銀時!」

「銀時さん!」

「銀さん!」

「銀ちゃん!」

5人は、それぞれ銀時を呼んだ。

「思い…出せねェ…。おまえらのことも、白哉の言ってたことも…。俺自身のことも……」

うつ伏せになったまま、切れ切れに呟いた。

「ん…?おい、白哉って誰だ?」

聞き覚えの無い名に、高杉が訊いた。

「昼間いた、黒髪の男か!?」

桂が言うと、銀時は少し顔を上げる。

「昼間…?よく分かんねェけど、白哉は俺の…家族だ……」
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