視
□忍者の、僕。
1ページ/1ページ
いくら何でも監視人物の部屋にいるなんて、危険すぎると思うのです。
しかし僕はこの学園のことなんて何にも分かりやしないので、授業で誰にも遭遇しない今。学園内を探索することにしました。
束さん、何も教えてくれないんだもんなぁ‥‥
そろりそろりと織斑千冬さんの部屋を出ると、長い廊下がいくつも交差していた。
フカフカの赤い絨毯が敷かれていて、まるで高級ホテルのようだ。
周りに警戒しながら長い廊下を素早く移動すると、出口がすぐ先にあるのに気付いた。
扉をそーっと開けて、上を確認する。大抵、監視カメラは壁に取り付けられているのだ。
「(あった‥‥)」
予想した通り、そこに外を監視するカメラが取り付けられていた。
優はニヤリ、と口角を上げると、首から提げられていたカメラを手に持ち、そのカメラの上からシャッターを切った。
カメラ独特のシャッター音が辺りに響く。
そしてその写真を監視カメラの視線の先に針金で固定した。
これで監視カメラの先を歩いても平気だ。
優は再び周りに監視カメラの存在があるか確認すると、先程とは違う硬い地面に足をつけた。
人がいない分、足取りが軽いということはない。前にそびえ立つ校舎のにはたくさんの人がいるのだ。その中にもちろん織斑千冬さんの姿もあるだろう。
織斑千冬さんは今どこにいるのだろうか?
優は校舎の中に駆け込んだ。