視
□夜の学園を徘徊する、僕。
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辺りの光といえば、窓から射してくる月明かりのみだ。
そのせいで暗い暗い長い廊下は、すこし先までしか見えない。
僕は校舎に取り残されたまま、校門、及び全ての教室の鍵を閉められてしまった。
「‥‥う‥‥」
怖くないですよー、本当ですよー!
その時、どこからかガタン! という荒々しい音がした。
ビックゥ!!
ななな、なな、何!!?
勢いよく振り返っても何もない。
恐怖に全身が包まれた。
悲鳴を上げる前に口を押さえると、代わりなのか目から大量の涙が出てきた。
すぐ近くにあった窓に手をかけると身をのり出した。確かここは二階だったか。四階までなら行けるから大丈夫。
後ろから声が聞こえたのが後押しになって、そのまま窓から飛び降りた。
――――飛び降りた先には、人がいた。
* *