SHORT
□制服
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「オヤ、いらっしゃい。今日はどうしたんです?」
「おう。邪魔してるぜ。いつものルキアの取りに来たんだけど。」
「そうですか。どうぞ上がって下さい。テッサーイ、お茶アタシの部屋までお願いー。」
かしこまりました、の言葉を耳に入れ、浦原の自室へと向かう。
狭くも広くもない部屋の、それでも定着しつつある場所へ腰を下ろすと程なくして運ばれて来たお茶に口をつけ、ほっと一息つく。
それと同時に投げ掛けられる質問。
「衣替え…っスか?」
「ん?あー、そう。これになってから初めて来たんだっけ?」
「ええ、初めてっスね。」
そっかぁ。結構楽だよな、カーディガンって。と裾を摘まむ一護。
いつものYシャツにゆるく巻かれたネクタイ。
身長の割りに細く軽い体には幾分余るようでゆるみがある。
加えて身長と体型とのサイズが合わなかったのか、甘え袖で…何だか目に毒である。
はて、自分は服装なんかに惹かれる質だったろうか?
それとも惚れた欲目か?
「でも何か着慣れないよなぁ。」
「そうですか?よく似合ってますよ?」
「え…そ、そうか?ありがとう…」
珍しく浦原が服装を誉めたことに驚き、次いで照れたようにカーディガンの裾をいじりながら礼を述べる一護にくらりと目眩を覚える。
どこぞの女子高生か。ちくしょう。
(アタシもとうとうヤキがまわったのかしら?)
…なんてことをつらつらと考えていたら、思わず手が伸びていた。
「わっ!…んぅ!?」
手持ち無沙汰にしていた一護の腕を掴んで引き寄せ、口付ける。
突然体勢を崩されたことに驚き、一護は浦原の作務衣に慌ててしがみつく。
抗議しようにも浦原の唇は離れない。
次第に深くなっていく口付けに諦めたのか、抵抗していた一護の腕はすがる様に浦原の羽織を握り締めていた。
ああ君の、すがるその手も、甘え袖…。
一句詠める…。
薄目を開けて一護の様子を伺う浦原はまたも自分の内側から上がる熱を感じた。
「ん、はぁ…、ぁ、」
唇を舐めて、咬んで、食まれて。
浦原の舌と唇は自由に一護の口内を動き回る。
口付けだけで脳の奥まで溶かされそうだ。
口付けの合間に、浦原の手が一護の服の中に侵入してくる。
脇腹から入った手が背中をなぞり、腰を撫で上げて胸の飾りに触れると、ビクリと一護の体が跳ねた。
「んゃっ、んんっ…」
漸く唇が離されると飲みきれなかった唾液が顎を伝い、その後を追うように一護の首筋に唇が落とされた。
「んっ、ちょっ、と!…っ、」
何なのだと言う質問にも、待ってくれの抗議にも耳を貸さず一護の肌をまさぐり、何を言っても反応しない浦原に、焦りと戸惑いが募る。
しかしこんなやり取りを、以前もしたような…
けれどそんな思考も、浦原の愛撫によってすぐに取っ払われてしまう。
「ふぁっ?!」
幾つか外されたボタンの襟を開き、胸の飾りに下を這わさて。
そのまま吸われ、舌先で転がすように舐められる。
「っぁ、やめっ…あ、」
這わされる舌はそのままに、浦原の手は一護の下半身に伸びる。
腰から尻をまあるく撫でて、そのまま下へ。
太腿を外側から内側へ撫でるとベルトを外され、制服のズボンのバックルを外される。
ファスナーを下ろされると、下着ごと一気に引き抜かれる。
残されたのはYシャツとカーディガンと、靴下。
何ともマニアックな組み合わせである。
それから再び太股を辿る様に撫で上げる。
「ひゃっ!?」
唐突に自身を握りこまれて声が裏返り、浦原の手を退けようと手を伸ばすが、あっさり振り払われてそのまま上下に擦られる。
「ぅあっ、ぁっ…ゃ、」
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てながら扱われて羞恥心に顔が赤く染まり、耳を塞ぎたくなる。
しかしどんどん追い立てるような手の動きに思考力が鈍ってしまう。
それでもなるべく声を漏らさぬよう、必死で耐えていると、一度イって、と囁かれた。
その低い声に体が震え、浦原の掌に欲望を放つ。
「ゃ、ヤだっ、あ、…ゃぁっ!」
未だ乱れる息を整えてる間にも浦原の手は休まる事なく動き回り、一護の放ったものが後孔に塗りたくられ、その滑りを利用して節ばった指が侵入してくる。
「…っ!?ちょ、まっ…て、」
指一本を難なく飲み込んだのに気を良くし、二本、三本と徐々に指を増やしていく。
ぐちゅり、ちゅぷ、増やされる指と共にそこから響く水音も増していく。
「も、ヤダっ、ぁ、ぁ、んぅっ」
「…挿れますよ」
「え!?ちょっ、あ、あぁっ!」
突然腕を引かれて浦原の膝に乗らされ、所謂対面座位で挿入される。
自分の体重も手伝って一気に入り込んで来るそれに、一瞬意識が飛びそうになるのをほとんど乱れていない浦原の作務衣にしがみついて耐える。
は、は、と忙しなく吐き出される吐息を浦原に飲み込まれて深い口付けを与えられる。
「ん…、んんっ、んぅっ、あっ!やっ!」
浦原の口付けによって塞がれていた一護の喘ぎも、激しく突かれることによって外に漏れ出す。
「ふ、…可愛い」
「ば、か!…っぁん!」
「…あん?」
突かれた弾みで出てしまった女の様な喘ぎに浦原が思わず動きを止めると、かあっと頬を染め上げ、き、聞かなかったことにしろ!と必死に取り繕う一護が余りに可愛らしくてクスリと笑いが零れる。
「何で?素直でいいじゃない?」
「じ、冗談じゃねぇ!んな恥ずかしいこと出来るか!」
只でさえ今現在恥ずかしい格好をしていると言うのに、これ以上どうしろと言うのだと言う言葉はとりあえず飲み込んだ。
恥ずかしいこと、ねぇ…と意味深な目で見ると、頼むから黙ってくれと真っ赤になって俯いたまま言われ、仕方ないとそのまま突き上げる。
「ぅやあっ!?」
突然再開された律動に、慌てて浦原にしがみつく。
首に腕を回し肩口の着物に噛みついて込み上げる快感に耐える。
喘ぎを抑える息苦しさから逃れる様に首筋に擦り寄られ、必然的に浦原の動きも速まる。
「んぐ、ぅーっ、んっんっ!ふぅっ…っ、」
「っ、イきそう?」
もう無理だと訴える様に頭を振る一護に尋ねれば、素直に頷かれる。
それにいいよ、と耳を噛みながら低く囁いてやると、その声にびくりと体を震わせて一護が達する。
その後を追うようにして、浦原もその体に精を放つ。
それから息も整わぬうちに一糸纏わぬ姿にされ、散々好き勝手に貪られた。
気が付いた時には既に朝日が昇り、本来の起床時間まであと僅かと言った所だった。
(…無断外泊しちまった…つーか今何時だよ…)
この言い訳をどうしようかと考えるが、それより先に制服だ。
今日も学校があると言うのに自宅ではないから替えのものがない。
今から帰ったのでは確実に遅刻だ。
さてどうするかとか鈍い思考を巡らせていると暢気な声が降ってくる。
「オハヨーゴザイマース」
…あんなことをあんなにしておいてこれだけフツーでいられるなんて化け物かこいつはって言うか変態なのかそうかそうだよな下駄帽子だもんなそうだよな…
「いやいやゼンブ声に出てますよ一護サン。」
「そうかそりゃ悪かったな」
「あ…いや、アタシがスミマセンでした…」
淡々と述べられる中にも隠しきれない棘を感じ取り、素直に謝る。
「アンタが盛った理由についてはあえて聞かねえ。…が、今日も学校あんのに制服どうしてくれんだよ?あ?」
「それならだぁーいじょうぶ!アタシってばほら、上手くやったんスから!まぁYシャツはちょーっと汚れちゃったんでアタシのお貸ししますが、カーディガンは無事っスよーん☆」
「…無事っスよーん☆…じゃねえよこのアホ店主!!当然のことだろっつーか何が上手くやっただこのアホタレが!衣替えする度に盛りやがってアホ下駄帽子!!」
「いった!しかもアホって三回も言った!」
「三回じゃ言い足りねーよ!バカアホヘンタイ!」
「うーわ。更にはバカと変態まで加わっちゃった!」
「ムカつくしゃべり方すんな下駄帽子!」
「アラ、その呼ばれ方懐かしい。」
「懐かしむなっ!…っあ゛ー!腹立つ!!」
「怒っちゃイ・ヤ☆」
「…テッサイさんに言いつけてやるからオマエ三日間飯抜きな。」
感情を荒げては浦原の思う壷だと悟り、彼の側近に灸を据えてもらおうと決め、静かに食事制限を告げてやると途端に態度を変えて謝ってくる。
その様は何とも情けない…。
しかし一護はテッサイも大のお気に入りだ。自分の方が圧倒的に立場が不利だ。
そんなことをしているうちにテッサイから制止の声がかかる。
何だかここに泊まった日の朝はいつもこうだ。
とりあえず浦原を部屋から追い出して身支度を整える。
悔しいことに借りたYシャツは幾分大きいがカーディガンも多少ゆるみがあるのでどうにか誤魔化せそうだ。
あの妙にイイ体つきの恋人を思い出して自分だっていつかは、と決意を胸に抱いて階段を下って行く。
制服
(おはよう、一護)
(おう、おはよ水色)
(昨日は盛り上がったの?)
(…は?)
(ネクタイもうちょい締めた方がいいかもね。あとタバコ?香りがばっちり移ってるよ)
(ッ!?!?)