summer wars!!
□第6章
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冬希「もう…いい。」
栄「冬希…!」
冬希は走って部屋に行った。
健二は栄に手招きされた。
栄「この足ときたらてんで言うこときかないんだから。」
健二「さっきあんな無茶するからですよ。」
栄「ふう。助かったよ。」
健二「じゃあ、片付けに戻りますね。」
栄「御前さん、花札は知ってるかい?昔はよく家族皆でやったもんだが、今じゃすっかり、相手がいなくなってねぇ。あんたの親でいいよ。」
健二「はい。」
栄「さっきはとんだ身内の恥をさらしてしまったね。」
健二「いえ。」
栄「夏希の馬鹿さ加減もね。」
健二「こいこいです。」
栄「やるね。」
健二「ありがとうございます。」
栄「あの子の前で、とんでもない姿を見せちまったよ…。」
健二「冬希ちゃん…ですか?」
栄「ああ。冬希はね、本当は陣内家の血の繋がり無いんだよ。」
健二「そうだったんですか…。」
栄「10年前…あの子が3歳の時。父と母を殺人事件で亡くしてね。あたしがおばあちゃんとして陣内家に置いたんだよ。
それから色々あって、10歳になった時、実のおばあちゃんが迎えに来たんだ。
その人が、紫蓬院財閥の紫蓬院 理恵子。」
健二「だからあんなに…。」
栄「それでね、あんたは今日から家の子だよって言ったら、あの子何したと思う?」
健二「え…っと…」
栄「あたしの手を両手で握って、笑顔で泣きながら、"おばあちゃん"と言ったんだ。あの時の涙は嬉し涙だと直ぐにわかったよ。」
健二「そうなんですか。」
栄「その時に着ていたあたしの浴衣、あの子大好きでね。」
健二「どんな浴衣なんですか?」
栄「時期にわかる。
あの子の将来の夢、ピアニストなんだよ。
…あの子がピアニストになる姿…楽しみだ。」
健二「………こいこいです。」
栄「この勝負ね、もし私が勝ったら。」
健二「え?」
栄「何か賭けないとつまらないじゃないか。そら、こいこいだ。
じゃいいね。もし私が勝ったら…。
夏希を宜しく頼むよ。」
健二「………」
栄「許嫁の代わりを頼むような愚かな子だが、それでもあんたが承知してくれるなら。改めてお願いするよ。
夏希を、宜しく頼むよ。」
健二「僕は…まだ僕は自分に自信が持てません。」
栄「あんたならできるよ。」
健二「!……あ…。」
健二は何かを言おうとしたが、言えなかった。
健二「やってみます。としか今は言えません。」
栄は札を置いた。
栄「あたしの勝ち。ハハハハ…フフフ。」
健二「…!」
栄「戻るついでに、冬希を呼んでくれないかい?」
健二「…はい。」