BLEACH

□気まぐれの戯れ
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何も、何も、無い。
あるのは、暗闇と静寂のみ。

(暇だな)

以前反逆の罪で無間に封じられた男、藍染惣右介はこの日で拘束されてから100年目の年月を迎えていた。

(あと19900年、か)

崩玉によって不死になった藍染は20000年の封印を命じられているため、100年などほんの僅かな年月に過ぎない。
しかし、藍染はこの何もない空間に飽きてきていた。

藍染はふう、と溜め息を吐く。動くこともままならないこの姿で藍染に出来ることは、考えることだけだった。

会話をする相手もなく、定刻に獄卒がやってきて食事をさせる程度。
しかもどれも藍染相手に怯えきっているため声を出そうものなら、たちまちのうちに逃げ去ってしまうのだった。

(今回の獄卒は、手応えがあると良いのだが)

藍染相手に疲弊するのだろうか、獄卒は毎回変わっていることに藍染は気づいていた。
そのため、毎日食事の為に来る獄卒をからかうことが藍染の数少ない楽しみでもあった。

(そろそろ、か)

考え事をしていると、もう食事の時間になっていた。
ここには時計など無いが藍染は感覚で時間くらいは把握出来る。

ギィィ、と鈍い音を立てて監獄の扉が開いた。
扉は藍染と距離があるため、獄卒が近くまで来ない限りは藍染が獄卒の顔を見ることは出来ない。
藍染は気配が近づくのを無表情で待っていた。

(……)

これ、は。
以前感じたことのある気配だと気付いた瞬間、獄卒が静かに声を発した。

「お久しぶりです、藍染隊長」

この気配は。
幾度も利用し、「理解」から最も遠い感情を己に抱いていた、

「……雛森です」

 
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