BLEACH

□待っていて
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虫も鳥も、人間も眠る丑三つ時にその男はやってくる。

「一護くん」
「ん…あ…い…ぜん…?」
「こんばんは」

当然のように一護の頭の中に響く声の主は、藍染惣右介。
かつては敵対し、今は互いを理解できる恋仲として繋がりのある男。

「今日まで寂しい思いをさせたね。でも明日、君に会いに行けそうだ」

この男は、一護に敗れた後二万年の投獄を命じられた。
しかしさすがと言った所か、看守の監視をくぐり抜けては恋人である一護に会いに来るのだ。

「週二のペースで来られたら寂しくならねえよ。てか…大人しく刑受けてろよ」

恋人が会いに来るのだ、嬉しくない訳は無いが恋愛に不慣れな一護は天の邪鬼な態度を取ってしまう。しかし藍染にはそのような態度すら好ましく映るようである。

「ふふ、君らしい。だが私にこうさせるのは君が可愛いからだよ」
「言ってろ」

ふい、とそっぽを向く一護の頬は僅かに赤い。それを知っていて、藍染はより笑みを深くする。

「おっと、そろそろ時間だ。ではまた明日…」
「…あ、ああ」
「愛しているよ、私の一護」

そう言うと、藍染は一護の意識から出て行く。再び静かな夜に残された一護は、

「…ふん」

と小さく微笑み、布団に潜った。

(明日は、何をしようか)




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