転生した彼の学園モノ。

□1章:入学&試験2
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 一通りの説明が終わりすぐさま試験開始となり、教室にいた生徒もパーティーを組むために動きだした。中にはさっさと他の教室に向かう者までいたが、同郷の者が他の教室いるのか、はたまた入学早々に仲良くなった者を誘いにいくのかどちらかだろう。

 本来ならば俺自身もパーティーメンバーを探しに行かなければならないのだが、この学校に同郷の者はおらず尚且つ仲が良いと言っていいいのか、顔見知り程度にシオがいるだけとなっている。ようするにパーティーを組む人物がいないということだ。

 パーティーを組むにしろ一人で試験を行うにしろ、今日は下準備として過去における試験を行った生徒の傾向と道具などを揃えるための準備をすると決めているので試験を行うのは明日からとなる。

 朝、教室に来た時と同じように窓の外を見ると早速校庭に集まり『飢渇之土俵』に向かうであろうパーティーの一団がいた。中々に興奮しているらしく時折かすかに声が聞こえる、此処から校庭まで距離がある上に窓ガラス一枚挟んでいるのでかなりの声量であることが伺える。

 外を眺め続ける事30分弱、教室内にいる生徒もまばらになってきた頃にこの教室に入ってくる者がいた。僅かな足音を拾う限りこちらに向かってきているようだが…。

「あ、あの!」

 俺が座っている隣で足音がなくなると一際大きな声でこちらを呼んできた。
 その声に聞き覚えがあり、さらに今このときに声をかけて来るとなると必然的に顔見知りになるわけで。

「シオ、か。」
「ぼ、僕とパーティーを組みませんか?!」

 昨日と変わらずどもりながらだがはっきりと伝えたいことを言ってきたが、声が大きいため何事かと教室に残っていた生徒全員がこちらを向いていた。
 教室中の視線に気がついたシオは頬を紅く染めて下に俯いた。

 ここでシオと組むのはメリットはあれどデメリットはない。『飢渇之土俵』にはモノノケ(魔物・モンスターとも呼ばれる)が徘徊しているため人数が増えるのは戦闘における労力が減ることと同意義なためメリットしかないといえる。そもそもパーティーを組んで発生するデメリットは人数が増えることによる進行速度の低下かパーティー内での揉め事(種族又は人柄の相性が良くない・純粋に嫌っている等)ぐらいしかないので2人の場合はそれらのデメリットが発生しない。

 などと考え込んでいる内に中々時間がたっていたようで、始めの威勢のよかったシオの表情が見る見る内に不安げな顔に変わっていった。

「パーティーだったか?俺は別に構わないぞ。」
「ほ、本当ですか!ありがとうございます!!」

 昨日の夜と変わらず大きく頭を下げるシオに苦笑しながらも、明日行う試験について知っている限りのことをシオに話した。話された内容に一喜一憂しながらも真剣に話を聞くシオだったが、シオが驚いている内容を考えると夕暮れから今夜にかけてボロボロの姿になった一団が幾らか戻ってくるだろう。空が暗くなるころには教師に運ばれてくる者達もでてくるやもしれない。
 まぁいい、そいつらが下手をして傷ついて帰ってこようが俺には関係のないことだ。前もって情報を得なかった奴らが悪い。

 そしてお互い他にパーティーを組む者がいないため購買へと行き、足りないものの買い足しを行い一日が終わった。






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