転生した彼の学園モノ。

□プロローグ
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 白。

 今俺がいる場所を表すのならばこの一文字で表現できてしまうだろう。右を見ても左も見ても見えるのは『白』のみ、なにも無い。さらに言うと、本来あるはずの自分の身体すら白い、いや『無い』のだろう。しかし、自身の身体が無いというのに『見える』とはこれいかに、少々自分が滑稽に思えてくる。かりに、今の現状を言い表すのならば、物理的に見えているのではなく、現象として『見えている』といえるだろう。まあ、かりにそうであっても今の自分自身にとっては意味がないのだが。

「…その辺はどうなのだろうな?」
「…いつからお気づきになられたので?」

 ふと、違和感があった(正確には『視覚的に』が文頭につくが)方へ話しをふるがどうやら【何か】がいたようだ。

「『白い』のが他の場所より濃ければ何かあると普通は思うだろ?それだけだ」
「…認識できる、ということですか……」

 答えてやると、その【何か】は考えるような(?)雰囲気を出すと、さらに『白い』のが集まり人の形を成していった。
 それは、男のようであり女、子供でもあるような老人、聖女と思いきや罪人、全てを合わせたような【人型】が現れた。

「いや、違うな。全てを『合わせた』のではなく『何もかもと違う』。仮名称としては『ヒト』が正しいか?それとも『神』か?…まぁいい、今の現状を説明してくれるのならば、な。」
「…私は…貴方の言うところの『神』、です。」
「…そうか。」

どうやら適当に思案・思考していたのが口から出ていたみたいだ。こんな口が滑りやすかったのか、少々自身に疑問を感じたが所詮その程度の疑問、まぁいい。

「それで?その『神』とやらはどうして俺が此処にいるのか教えてくれるのか?」

 そして気が付いていの一番に疑問に思っていた『どうして此処にいるのか』、まぁ『神』が出てくるのだから何かろくでもないことだろう。

「そもそもとして私の存在自体に疑問を持たないのですか?貴方の世界ではありえない存在として認知されているのですよ?」
「こう言えばああ言う、というのは分かるか?」
「……どういうことですか?」
「お前自身が俺に対して、疑問に思わないのか?などと、『普通』なら聞かないだろう?それを俺に問いかけている時点でお前が『神』もしくはそれに近しいモノだということは確実だ。」

 分かったか?と続けて言ってやると押し黙る『神』。
 まぁいい、そんなことより、『私の存在』『貴方の世界』『ありえない存在として認知』か……。明らかに『複数の世界が存在する』な。そして、あいつ自身自分が生命体ではないといっているようなものだな。

「……此処は神の間と言われていて「俺が聞きたいのはそういうことじゃない。」……。」
「言い方が悪かったか?どうして俺が此処にいるのか『理由』が聞きたい。」
「…貴方を別世界に送るために「理由を聞きたいと言った、言葉が理解できないわけではないだろう?」……。」

 はぐらかすような言い回しにさすがに苛ついてきた、理由を聞きたいと言っただけなのに何故言おうとしないのか、言いたくないのかそれとも言えない何かがあるのか…。どちらにしても選択しは無い様に思えるがな…。

「…すみません。貴方に今回のことをお教えすることはできません。」

 『神』が誠意を込めてなのか、腰を45度曲げて綺麗な謝罪をしてきた。
 まぁいい、所詮人型の『神』、教えるとは思っていない、そもそも教えられないからといって俺がどうこうすることもできないのだからな、動かす・接触できる身体がないのだから。だが、そこは指して問題ではない、一番の問題といえば…。

「ふん、まぁいい。別世界と言ったな?」
「はい…。」
「そこは、【面白い】か?」
「………は?」
「だから、【面白いか】と聞いている。」

 【面白い】これに限る。

「質問の意味が分かりかねますが…。」
「世界は【面白く】なくてはならない。俺が、俺自身が面白いと思うことができなければ、お前の言う別世界で生きていく意味がない。」

 俺が面白いと感じるからこそ生きている意味がある。他人が聞けば傲慢とも我儘とも言うだろうが【面白くない】世界に生きて何の意味があるのだろうか?むしろ日々を怠慢に過ごしている奴らの気が知れんな。

「さぁ早く答えろ、今の俺は気分が良い。」
「…良い、ですか?」
「当たり前だ、一体だれが今俺の現状を想像することができる?できないだろう?こういう予測・理解・解明することができないことが起きてこそ【この世界はとてもとても面白い、そう思うだろう?】」
「……ッ!?」

 今俺は自分の顔に右手の手の平を当てているが、その外側からでも分かるだろう、三日月のように裂けた歪な笑みが浮かんでいるのが。



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