転生した彼の学園モノ。
□1章:入学&試験2
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タカチホ義塾、昇降口付近、秋霖堂前
入学して二日目。
昨日は出来なかった鍛錬を行うためにまだ日が出ていない程早い時間に出てきて準備を行っている。
先日、着ていた制服では鍛錬の最中に暑くなるため、上は黒のパーカーに下は濃緑色のズボン。頭には頭の頂点が出るような巻き方にしたバンダナを目深に巻いている。
そして現在いるのは校門と昇降口の中間地点に存在している『秋霖堂《しゅうりんどう》』と呼ばれるお堂の前にいる。
この『秋霖堂』はタカチホ義塾の名所の一つとして数えられている、何故なら。
「にゃー。」
「初めまして、だな。『武者小路《むしゃのこうじ》ニャン太郎』。」
言葉が理解できるのかお堂の中央上部に座りながら、にゃん!と鳴き右前足を上に上げた。
武者小路ニャン太郎は方位磁石を首輪に付けており、茶色と焦げ茶色をした虎柄の猫で少し小柄な体躯をしている。
そしてニャン太郎が凄いのは名前だけではなく。
「にゃ〜ん!」
いきなり飛び降りたニャン太郎はお堂の中央から下部にかけてあるかなり数のあるパネルをひっぱたき始めた。
パネルはガラガラと音を立てながら回り始めて、ニャン太郎はくるりと一回転すると綺麗に着地した。
その間もパネルは回り続けていたが、そう時間が経たない内に回転速度が減速し黒と白のパネルで一つの文字が浮かび上がってきた。
「『雲』、今日は曇りかニャン太郎。」
「にゃん♪」
そう、ニャン太郎が凄いところは『天気予報』ができるのだ。
天気予報ができるのはきちんと理由があり、この学校の特殊学科の一つである【予報士】の学科をとっていて(その影響か方位磁石を首輪に付けている)、単位数も限界の100単位とっているためだからだ。
そもそも猫が学科をとれるかと聞かれれば難しいと言わざるをえない。しかし、無理や不可能と言えないのはニャン太郎以下、歴代の『予報猫』が存在するためである。ちなみに、ニャン太郎で17代目現在ニャン太郎は2歳、ヒューマン換算で23歳となる。
しかし謎なのは、パネル全体の大きさがニャン太郎がいくら両足を広げても、両端が届かないような大きさなのに全てのパネルを回していることなのだが…。
このことがタカチホ義塾の七不思議の一つである『ニャン太郎の凄技』に認定されていることを知るのは少し後のことだったりする。
「この後雨が降ることは無いんだな。」
「うにゃん!」
もちろん!とでも言うように胸を張って元気よく返事を返すニャン太郎。
何故この後雨が降ることが無いと言い切れるのか、それは先ほどニャン太郎が回したパネルの隣にもう一つのパネルがあり、その二つのパネルの間に縦長のパネルがある。
このパネルは『時々』と『後』を出すためである。ニャン太郎が回した方と同じ大きさのパネルは同じように天気を表し、縦長のパネルの方は『時々』を『/』で、『後』を『→』で表すことによってより正確に天気予報できるように出来ている。
その後、ニャン太郎に別れを告げて鍛錬に入った。
朝ということもあり軽めにランニング10kmを走り終わると筋トレ、短剣の型の反復へと移り最後の瞑想を終わる頃には食堂が開く時間になっていたが汗をかいた状態で食堂に行くわけにもいかず、着替えるために一度部屋へと戻った後に食堂へと向かった。
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