転生した彼の学園モノ。改

□プロローグ
1ページ/3ページ

 白。

 今俺がいる場所を表すのならばこの一文字で表現できてしまうだろう。右を見ても左も見ても見えるのは『白』のみ、なにも無い。さらに言うと、本来あるはずの自分の身体すら白い、いや『無い』のだろう。しかし、自身の身体が無いというのに『見える』とはこれいかに、少々自分が滑稽に思えてくる。かりに、今の現状を言い表すのならば、物理的に見えているのではなく、現象として『見えている』といえるだろう。まあ、かりにそうであっても今の自分自身にとっては意味がないのだが。

「その辺はどうなんでしょうね?」
「いつからお気づきになられたので?」

 ふと、違和感があった(正確には『視覚的に』が文頭につくが)方へ話しをふるがどうやら【何か】がいたようだ。

「『白い』のが他の場所より濃ければ嫌でもな…。」
「認識できる、ということですか…。」

 若干素がでながらも答えてやると、その【何か】は考えるような(?)雰囲気を出すと、さらに『白い』のが集まり人の形を成していった。
 それは、男のようであり女、子供でもあるような老人、聖女と思いきや罪人、全てを合わせたような【人型】が現れた。

「いや、違うな。全てを『合わせた』のではなく『何もかもと違う』。仮名称としては『ヒト』が正しいか?それとも『神』か?まぁいい、今の現状を説明してくれるのならば、な。」
「私は…、貴方の言うところの『神』、です。」
「…『神』。」

 どうやら適当に思案・思考していたのが口から出ていたみたいだ(しかも素で!)。こんな口が滑りやすかったのか、少々自身に疑問を感じたが所詮その程度の疑問、まぁいい、のか?

「では、その『神』様とやらはどうして俺が此処にいるのか教えてくれるので?」

 そして気が付いて、いの一番に疑問に思っていた『どうして此処にいるのか』。まぁ『神』が出てくるのだから何かろくでもないことのような気がするのだが…。根拠はないけれども。

「そもそもとして私の存在自体に疑問を持たないのですか?貴方の世界ではありえない存在として認知されているのですよ?」
「事実は小説より奇なり。」
「…どういうことですか?」
「今、目の前の存在が俺に対して疑問に思わないのか?などと、『普通』なら聞かないでしょう?それを俺に問いかけている時点でアナタ自身が『神』様もしくはそれに近しいモノだということをものがたっているんですよ。」

 OK?と続けて言うと押し黙る『神』様。
 まぁいい。そんなことよりも、『私の存在』『貴方の世界』『ありえない存在として認知』か…。明らかに『複数の世界が存在する』ような物言いだな。そして、『神』様自身が生命体ではないといっているようなものだな。

「……此処は神の間と言われていて「違う。」……。」
「分からないはずがないでしょう?どうして俺が此処にいるのかの『理由』が聞きたいんです。」
「…貴方を別世界に送るために「理由を聞きたい、理解できないわけではないでしょうに。」……。」

 はぐらかすような言い回しにさすがに苛ついてきた。理由を聞きたいと言っただけなのに何故言おうとしないのか、言いたくないのかそれとも言えない何かがあるのか…。どちらにしても選択肢は無い様に思える…。

「…すみません。貴方に今回のことをお教えすることはできません。」

 『神』様が誠意を込めてなのか、腰を45度曲げて綺麗な謝罪をしてきた。
 まぁいい、ある程度予想できたこと。そもそも教えられないからといって俺自身がどうこうすることもできない。動かすための身体がないのだから。だが、そこは指して問題ではない、一番の問題といえば…。

「はぁ、まぁいい、や。別世界でしたっけ?」
「はい…。」
「そこは、【面白い】?」
「………は?」
「だから、【面白いか】んですか?」

 【面白い】これに限る。

「質問の意味が分かりかねますが…。」
「世界は【面白く】なくては。俺が、俺自身が面白いと思うことができなければ、アナタの言う別世界で生きていく意味がない。」

 俺が面白いと感じるからこそ生きている意味がある。他人が聞けば傲慢とも我儘とも言うだろうが【面白くない】世界に生きて何の意味があるのだろうか?むしろ日々を怠慢に過ごしている奴らの気が知れない。

「どっちなんです?今の結構気分が良いですよ。」
「良い、ですか?」
「もちのろん。一体だれが今俺の現状を想像することができる?できないだろう?こういう予測・理解・解明することができないことが起きてこそ【この世界はとてもとても面白い、そう思うだろう?】」
「!?」

 素、というよりも自分のもう一つの『顔』が垣間見た気がした、そんな一瞬だった…。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ