転生した彼の学園モノ。改

□1章:入学&試験3
1ページ/7ページ


タカチホ義塾、校門前

 今日は試験場となっている祠へと向かう日。
準備は昨日の時点で必要なものは揃えておいたので後は荷物を持ち出発するだけとなっている。

 そして今隣にいるシオはまだ眠いのか、うつらうつらと船を扱いでいて危なっかしい。まぁ眠いのは仕方がないと言える、今の時間は太陽がまだ僅かに顔を地平線から出しているだけに過ぎないのだから。

 さらに付け加えると昨晩、学校の方で騒がしいかったのも影響しているだろう。
 案の定というか、昨日予測した通りボロボロになって帰ってくる者達や教師に担がれるようにして連れて来られた者達が大勢おり、どうやら想定を上回る人数が運び込まれたらしい。

「行こうか。」
「ふぁい…。」

 まだまだ眠気が取れないのか欠伸と同時に返事を返してきた。
 歩き始めたのはいいがフラフラフラフラと危なっかしすぎる足取りのシオ、それに若干呆れながらもシオの左手をにぎってやり手を引いてやる。


 タカチホ義塾のある場所は温暖な気候のため周辺を森に覆われているが、今向かっている『飢渇之土俵』は乾燥地帯というより砂漠地帯にあるので一面砂漠となっている、と資料で確認している。そのため、『飢渇之土俵』に近づくにつれて木々が少なくなり草原へ変わっていくはずである。

 そして現在、タカチホ義塾周辺の森を抜け木々がだんだんと少なくなっていき逆に膝ぐらいまである草が多くなっている位置まで来ている。時間はおよそ真昼近く(携帯式の時計を持っていないため太陽の位置で判断)だろう。

「そろそろ、昼食を兼ねて休憩を取ろうか。」
「はい!」

 流石に今朝のような眠気はなくなっているシオだが、強い日差しに当てられ続けていたため僅かながら疲れが見て取れた。

 辺りに草原が続いている場所ではあったが、運良く大きな一本松が立っているのを見つけることができた。その一本松の下で日を避けながら昼食を取ることにした。

 一本松の下に着き辺りを見渡すが、草原が広がっている以外何もなくこの先休憩を取ろうにも日照りによって体力を奪われ続けられるだろうことが伺える。そういう意味でもこの一本松を見つけれたのは僥倖だった。

 荷物を松の根元に置き、昼食を取り出す。昼食は衛星面を考えて、昨日の内に食堂に調理器具などの許可を貰い、出発前に作ったものだ。作ったといっても簡単のものしか作れなかったので『おにぎり』と『たくあん』だけとなっている。ちなみに『おにぎり』の具は梅干である、理由は菌の繁殖を抑えるためだ。たくあんはその場にいた調理のおばさん(お姉さん)がくれたものだ。

「美味しいですね♪」
「そうだな。」

 食事中の会話はほとんどなく(道中でも会話は少なかったが)、シオは嬉しそうにおにぎりを頬張っていた。

 しかし、正直おにぎりに美味しいというのがあるのか些か疑問があるが、大体そういうのは具の違いだけのような。などどシオが聞けば気分が悪くなる(テンションが下がる的な意味で)ことを考えていたが、口に出すことでもないので黙って食べ続けた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ