転生した彼の学園モノ。
□1章:入学&試験2
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タカチホ義塾、生徒校舎1棟、1年C組
誰もいない食堂で朝食(純和風)を摂り、自分の教室へと入る。
そこには既に担任の教師がおり、教卓の前で書物を読んでいた。
「おはようございます。
学校が始まってから二日目だというのに早いですね?」
「おはようございます。
まあ癖みたいなものなので。」
そうですか。と答えた後、自分の寺子屋机につくとボーと外を眺める。
まだまだ日が昇ったばかりで生徒の姿も教師の姿もなく、あたりには担任の教師の書物を捲る音以外無く、静寂が包み込んでいた。
しかしまだ春先、さらには朝早いということもあり肌寒い。
ふと外の景色である校庭の端に目を向けると剣を振っているのだろうか体が前後するような動きをしている者がいたが、いかせん距離があるためどんな人物なのか判断がつかない。
「…どうやらあの1年生もあなたと同じく朝の鍛錬をしているようですね。」
俺が校庭の一箇所を凝視していたのに気が付いたのか、担任の教師もそちらに目を向けていた。
けれども何故この教師は今校庭の隅で剣を振っている人物が1年生と分かるのだろうか。
「…何故1年と?」
「私は赴任してから毎日欠かさずこの時間には起きて担当の教室にいますから。
それなのに今日行き成り現れたのなら1年と分かるでしょ?」
「…よく見ていらっしゃる。」
「ふふ、努力している生徒は好きなのよ。
たまーにこうして朝早くから鍛錬している子達がいるから、あなた達のようなね?」
本当に、よく見ている…。
こちらに向けている目は慈愛に満ちておりその人物の有り方を様々と見せつけているようだ。
「けれどあなたは敬語より楽なタメ口の方が似合いそうです。」
本当に…よく見てる……。
あれから大分経ち、教室内にこのクラスに在籍する全ての生徒が集まった。
全員集まったことを確認したアネモス教師はプリント(和紙製)を配った。
そこには『メイン学科の選択』と書かれてある。
『学科』には基本学科が12個、特殊学科(他学校の特殊学科は2年から)が17個、特別学科が各学校2個、種族特別学科が格種族につき1個ずつとなっている。さらに細かく分けると系統別や戦闘隊形などに分けることができる。
学科は1人につき二つ選択できるが
一つ目の『メイン学科』に選択した学科はその学科を主体としてやっているのでその学科で得た技能・スキル・魔法全てが使える。
二つ目は『サブ学科』と呼ばれるもので1年生は1学期のあるイベントを行った後に選択できるようになるが補助的な意味合いが強く、選択した学科の一部技能・スキル・魔法が扱えないといった制約がある。しかし制約があるといっても、あるのとないのとではかなりの差ができるため基本的に全ての生徒が選択している。
数多くの学科があるが既に学科は決めているため直ぐに書いていく。
生徒全員が書き終わったのを確認したアネモス教師は一枚一枚プリントをきちんと書かれているか確認しながら受け取っていく。
「はい。皆さん今書いた学科が今から所属する学科となります。
尚、転科したい場合は私に申し出てください。
続いて試験について説明します。」
そう切り出したと教室中がピンと張り詰めた空気に変わった。
「試験名は『マワシ拝領の儀』。
内容はスモウの授業で必要なマワシを『飢渇之土俵』にある祠から取って来ることです。
ちなみにスモウは必須科目なので男子女子関係なくマワシを取りにってください、でないと落第してしまうので。」
最後は苦笑いしながら言うアネモス教師は教室にいる女子生徒のことを思ってのことだろう。事実、教室内にいる全ての女子の顔が引きつっており、酷いものはこの世の終わりのような絶望した顔をしているものさえいる。男子は男子で結構平気そうだが、面倒臭い気な雰囲気をかもし出している。様は皆やりたくないのだ、自分も含めてだが。
「飢渇之土俵への入場許可書を今から渡します。
許可証を無くした場合、飢渇之土俵へと入ることができなくなりますので気をつけてください。
無くした場合、私に報告してくれれば再発行します。
といっても基本的にはなくさないでくださいね、結構面倒なんですよ再発行をするのは。」
恐らく過去に無くした者のがいてその時の手続きの面倒差に嫌な思い出あったのだろう、顔がすさまじく廃れた表情になっている。
そんなアネモス教師の表情に教室中の生徒全員が一様に絶対になくさないようにしようと心に決めたのはある意味、自然なことだったのかもしれない。
「試験期間は今日から1週間となります。
昨日も言いましたが他学年との混合パーティーは組めませんので、同じ学年でのみパーティーを組んでください。
しっかりと準備を怠らず、危機感を持ち試験に挑んで下さい。
皆さん怪我をしないよう頑張って下さい。」
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