転生した彼の学園モノ。

□1章:入学&試験3
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 荷物を松の根元に置き、昼食を取り出す。昼食は衛星面を考えて、昨日の内に食堂に調理器具などの許可を貰い、今日の朝に作ったものだ。作ったといっても簡単のものしか作らなかったので『おにぎり』と『たくあん』だけとなっている。ちなみに『おにぎり』の具は梅干である、理由は菌の繁殖を抑えるためだ。

「美味しいですね♪」
「そうだな…。」

 食事中の会話はほとんどなく(道中でも会話は少なかったが)、シオは嬉しそうにおにぎりを頬張っていた。

 しかし、正直おにぎりに美味しいというのがあるのか些か疑問があるが、大体そういうのは具の違いだけのような。などどシオが聞けば気分が悪くなる(テンションが下がる的な意味で)ことを考えていたが、それを口に出すほど愚か者ではない。

「けど、…。」
「…どうかしたか?」
「いえ、何故かモノノケと余り遭遇しないなーと思って。」

 確かに、今までモノノケに襲われたことがないのは事実だ。だが、今の『現状』を考えれば納得できないものでもないのも、また事実である。

「基本モノノケは夜の方が活発に活動するからな。それに。」
「それに?」
「今は試験の途中で多くの生徒が『飢渇之土俵』に向かっている。自然と義塾から『飢渇之土俵』へと続く『道』が出来上がる。」
「そう、…ですね。」

 今まで来た道は整備された街道である。本来この街道は『飢渇之土俵』を過ぎた先にある『トコヨ』という街に行くための道であるのだが、この街道を使った方が途中まで安全に祠まで行けるため今回の試験に行く生徒は皆この街道を使っている。
 途中までしか使えないので祠に一番近くなったときに街道を外れなければならないのだが。

「しかもだ、昨日の夜の段階でかなりの生徒が運び込まれたのは知っているな?」
「はい。そのせいで寝るのが遅くなりましたから…。」
「出発予定時間に遅れなかったのなら問題ないだろう。」

 その代わりにシオが眠そうなまま出発するハメになり、よろけながら歩いていたため転けそうになり危なかった場面もあった。その時は手を握っていたため大事には至らなかったが。

「まぁいい。
 生徒が運び込まれた理由は分かるか?」
「…モノノケとの戦闘、ですか?」
「そうだ、昨日の夜の段階で既に大量のモノノケが討伐もしくは疲弊しているはずだから。」
「なるほど!だからここまでモノノケとエンカウントせずにこれたんですね!」
「そういうことだ。」

 さらに付け加えると、格街や主要都市、学校などに続く街道には『魔除け』が施されている。その『魔除け』の方法は様々で、呪符・魔方陣・刻印とメジャーなものから塩・狛犬・蹄鉄などのマイナーなものまでも。

 その『魔除け』の影響でモノノケが近寄りづらくなっている。しかし、施された『魔除け』より強いモノノケや弱小モノノケでも夜には街道に近づくこと出来る。




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