転生した彼の学園モノ。改

□1章:入学&試験6
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 今度は中央にいるシオに向かって突っ込んできた。
 頭に血が上りすぎて(血があるのかは知らんが)いるのか、猪突猛進のごとく直線的に来た。こうなってしまえばむしろ扱いやすくて仕方が無い。

 モノノケの攻撃が届く、ほんの僅かな時間でPTに指示を出す。
 それぞれ、シオには耐えて貰うように、あんずには右に回り込むように、彩にはさらに後ろに下がるように。両手を大きく、目配せも使いながら伝えていく。
 そして、俺は左に、あんずは右に、彩は後ろに、シオはその場に重心を下げて衝突に備える準備をした。

 モノノケは予想通りにシオ一人へと向かい、右手をシオを盾ごと叩き潰すよに振り下げた。
 その間に俺とあんずはそれぞれモノノケの左右へと動いた。

 待ち受けていたシオだった。が、ドワーフの獣の感だとでも言うのだろうか、モノノケの攻撃に耐えきれないと判断し、緊急回避に移る。が、予《あらかじ》め踏ん張る準備をしていたためか、回避が数瞬遅れ、モノノケの攻撃によって発生した風圧により態勢を崩された。さらにモノノケが手を地面に叩き付けたことによりおきた地面の隆起によって足をとられ転んでしまう。

 この一連の状況を見たあんずはシオを助けようと、モノノケの足目掛けて武器を振るう。
 あんずの攻撃があと少しで当たるというところで、モノノケの視界にあんずが入っていたのかモノノケは左を振り抜くようにしながら左腕を凪払った。

 シオの時と同じ様に、いやシオの時よりもっと酷い。あんずは回避行動も取れず一番無防備なところを攻撃された。
 モノノケの腕はあんずの腹へと当たり、あんずは強制的に体をくの字に曲げられ、吹き飛ばされる。

 6メートル程吹き飛ばされたところでようやく止まった。
 モノノケが腕を振り切ったことにより絶好の攻撃チャンスが生まれたが、後ろから見ていたため、あんずが吹き飛ばされるされるというショッキングな瞬間を間近で見た彩は茫然自失となり、ただ漠然と倒れたあんずを見ているだけだった。
 しかし、モノノケは待ってはくれない。
 あんずにトドメを刺そうと歩みよろうとする。

 これではマズイと思い、そしてモノノケがその背を向けていることを好機とし、モノノケの背へと襲い掛かった。
 武器が片手にしか持っていない『ボーイングナイフ』の一振りのみだが、それを突き刺し、突き刺さったまま横へと引き裂き、そして新たに突き刺しては、今度は真下へと自分の体重を掛け、身体を滑らせながら縦一文字に引き裂いていく。

 流石に図体がでかくとも、この二撃には耐えられなかったのか、凄まじい絶叫を上げながら背へと手を伸ばす。
 その背には既に俺はおらず、かなりのダメージを与えたはずなのだが…。

(くっ!ナイフだから浅い!)

 想像以上に、短剣という武器の刃渡りが、そしてモノノケの肉体の分厚さが敵にとて幸いしたのか、傷は浅く、モノノケに止めを刺せるほどではなかった。
 ナイフ以外を武器にするか?と今考えるようじゃないことを考えたが、その内心、焦りに焦っていた。ただでさせ決定力に欠けるPTで、主戦力足るあんずがノックダウンしてしまったのだ。これで焦らないはずがない。

 己の背に敵がいないことを確認し終えたモノノケは、ぐるんと勢いよく後ろを振り返り、俺を見定めたかと思うと雄たけびを上げた。

 その間に、シオが彩を立ち直させたのかシオがモノノケの方へと突っ込んでいき彩はあんずの方へと向かっていっていた。
 こうなると、後はシオと二人で時間を稼げるだけ稼いで彩とあんずを待つしかない。
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