転生した彼の学園モノ。改
□1章:入学&試験6
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僅か10分だが体感時間では長い10分間を耐え忍んでようやく彩が復帰してきた。
あんずはどうやらダメージが残っているのか暫くは参戦できないようでこちらには来ていなかった。
「あんずさんはもう大丈夫です!」
「分かった!」
あんずが無事で安堵はするものの、依然として戦闘は続いている。
そして、彩の参戦により戦闘は楽になった。だが、決定力に欠けるこのPTでは未だにモノノケに止めを刺せずにいた。
何か、何か決定的な攻撃が通れば…!
そう思考していたためか敵の攻撃の反応に遅れてしまい頭に大きな拳が掠った。
手ごたえを感じたのか、敵モノノケがこちらへの攻撃を強めてきた。
どう、どうすれば…!
手を拱いてる状態が続き、俺とシオは攻撃をかわし、防御する。彩は銃弾を当てるものの致命的な攻撃とはなっていない。
ここは、一か八か…。
「シオ!俺が囮になるからコイツの頭に一撃当てろ!」
「で、でも!」
囮、今この状況では捨て身とも言える行動。しかし、このままでは埒があかずジリジリとこちらが消耗するばかりである。
「やるんだ!」
「ッッ!」
苦虫を噛み潰したような顔をしながらも小さく頷いたシオ。
囮という名の捨て身を決行するために、彩に伝える、もちろん一方的に。案の定、彩は止めようとするが、俺はそれを無視して行動を始めた。
業とモノノケの目の前に踊り出て、右手の攻撃をかわし、ジャンプをして空中へと躍り出た。
一瞬、モノノケの行動が止まったが次の瞬間には左手で俺の体をなぎ払った。
「ぐっっぅぅぅううう!」
強烈な衝撃が身体を突き抜ける。
地面に接触する瞬間受身をとるものの、威力が抑えられず、幾度もバウンドを繰り返す。
だが、これでモノノケに決定的な隙が出きた。
飛び上がったシオはモノノケの頭を上から下へと叩き付ける。叩き付けられた頭は反動で空を見上げるように持ち上がる。その瞬間を彩が喉元目掛けて引き金を引き、命中する。
「■■■■■■■!!!」
音にしかなっていない叫び声を上げるモノノケ。そこへ、再度飛び上がったシオの盾が顔の側面を左側から右へと振りぬかれた。
流石に頭を二度も盾で攻撃されたため倒れるモノノケ。
「や、やった…。」
「だといいのですが…。」
暫くモノノケの様子を見続けたが動く気配もなく、二人は倒れてるクガミへと近づいていった。
見た目的には酷い外傷もないが腹部を押さえたままクガミはジッとしていた。
「大丈夫ですか!」
「ああ、まだ少し痛むだけだ…。」
シオと彩の2人はそれが強がりなどではないと感じ、安堵するもののクガミに応急手当を施す。
「すまない、助かる。」
「いえ、これぐらいはやらせてください…。」
「そうですよ…。」
3人が3人とも先ほどの戦闘で思うことがあるのか会話はそれ以上はなく、黙々と手当てをするときの僅かな音しかながれなかった。
「……よし、終わりました。」
「ああ、ありがtッ!!どけ!」
「「…え?」」
いきなりクガミによって左右へと突き飛ばされた2人。訳が分からず呆けている顔をしながら地面へと体が触れたときには、クガミが居た場所に『大きな拳』が突き刺さっていた。その拳は紛れもなく、先ほどの戦闘で倒したはずであったモノノケのものだった。
「く、クガミさん!?」
2人が状況を把握するのに数秒要し、シオは叫び、彩は顔色を青くさせて口元を両手で押させていた。