転生した彼の学園モノ。改

□1章:入学&試験7
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「信用信頼していかないといけないことはわかっているさ…。」
「じゃあなんでしないのよ。」

 憮然とした表情のあんずは容赦ない一言を浴びせるものの、クガミはそれに苦笑しながら答えた。

「…分かっていても、それを実行できないことは色々あるから、さ…それが今回だったって話だ。」
「ふ〜ん……。ま、いいわよ。」
「?」
「私の実力をあんたの見せれば、『信頼してくれる』んでしょ?」

 してやったりという顔をしながら言い放ったあんずにクガミは苦笑するしかなかった。急激な展開の変化に置いてけぼりされた形になったシオと彩は空気が和んだことを感じとり、状況が収まったことを悟った。

「ふん、見てないさい私(の実力)を見せ付けてやるわよ。」
「それは告白か?」

 決意表明したあんずであったが、若干の言葉足らずで告白のようになってしまい、それに慌てて否定するあんず。

「慌てると怪しく見えるぞ?」
「突拍子もないことを言われたら誰でも慌てるわよ!!」

 フシャー!と猫の威嚇のよな声を上げながらクガミを追い掛け回すあんず。その様はまさに猫と鼠。
 またもや急激な展開の変化においてけぼりにされた二人は呆然としていた。気を取り直した2人は顔を見合わせた後に苦笑しながらいまだに追いかけっこをしている2人を追いかけていった。
 今後、楽しく有意義に義塾を過ごせるだろうと胸に感じながら…。



 その後、義塾へと帰る4人。道中は問題もなく帰れたが、試験場である祠へと向かう最中と決定的に違っていたことがある。それは各々が自分の持ち場で動いて戦闘を行っていたことである。クガミは後方気味で全体を見渡しながら指示を出し、シオは最前線で戦うが主に防御に力を入れ、あんずはシオと同じく最前線だが攻撃に力を入れ、彩はクガミの指示通りに的確に後方から援護射撃を行う。各々のポジションが確定したことにより、行きよりも遙かに戦闘が楽になった。それもこれもクガミとあんずの険悪な雰囲気から全員が考え出した結果なのである。

「漸く帰れたわ…。」
「はぃ〜…。」
「行く時より早かったですね。」
「4人になったからな。」

 義塾が見えたとたんに4人は安堵し緊張の糸が解けた。クガミとあんずは肩の力が抜けた程度だったが、シオは目に見えて嬉しさが滲み出ており、彩は顔がへたれておりあんずの背中にしな垂れかかっている程だ。
 4人はあんずの提案で一度各自の部屋へと戻ってから集まることになった。

「いっそのことこのまま報告に行けばいいのに、何ででしょうかね?」
「…女子なんだ、察してやれ……。」

 疑問におもったシオであったがクガミの一言によりあーなるほど、と納得した。それもそのはず、彼女たちは着の身着のままで一夜を過ごしているのだ。もちろん体を洗う風呂どころか水浴びできる場所もなかったのである。追い討ちをかけるなら祠があったのは砂漠、砂が酷いのである…。




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