黒バス/妖僕SS*
□何度でも。
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昔から彼の事はしっていた。
真っ直ぐな彼に、いつも何かしら事をけしかけるのは自分だ。
自分に構って欲しいから、なんて。
・・・・20を過ぎた大人が子供相手に何をやっているのだろう。
百目の先祖帰りである自分にとって、
自分だけが他よりも多くの記憶を受け継ぐ事は、ひどく辛い事もあった。
自分だけが覚えていて、
彼(渡狸)は、覚えていない。
・・・・そんな事が、何度もあった。
それを、こんなふうに、
もどかしい気持ちを、つい行動で渡狸にぶつけてしまう。
我ながら、大人気ないなと感じる。
そう物思いにふけっていると、メイドに声をかけられた。
「アラ、あんたまだここにいたの?学生達の迎えに行く時間じゃないの?」
「あ・・・・」
「他のSSは迎えに行ったわよ。」
(もうこんな時間だったなんて。)
「ありがとー☆ いま迎えに行くからねラスカルー!」
今朝の事は少し気にかかるが、まあいつもの事だ。彼はいつも通り、今朝のことなんて忘れているだろう。
そう簡単に考えて、渡狸達の通う高校へと向かった。