黒バス/妖僕SS*
□何度でも。
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「え、居ない・・・・??」
雨が降る中、校門の前にいたのは凛々蝶、カルタ、御狐神だった。
渡狸の姿は見えない。
「渡狸・・・、昼休みのご飯の時から・・・居なかったの・・・。」
カルタは鞄を脇にぎゅっと抱えて、俯いた。
「僕も誤算だったな。彼の姿が見あたらなかった時に・・・御狐神君か君に電話でもしていれば・・・」
「凛々蝶様、ご自分を責めないで下さい。」
あぁ、なんて自分は馬鹿なんだろう。
右目の眼帯を押さえ、頭を振る。
「夏目さん・・・??」
「みんな心配しすぎだよー☆ 晩ご飯にはお腹を空かせて帰って来るって!・・・とりあえず、そーたんは2人を先にマンションへ。」
「しかし、君っ・・・」
凛々蝶の抗議を御狐神が制する。
「それでは夏目さん、何かありましたら連絡を。」
「了ー解☆」
3人が乗った車が走り去るのを見て、溜息をついた。
「ほんと・・・・つくづく馬鹿だ。」
(こんな自分。)
(生まれ変わったって、)
「・・・・・。」
誰もいない放課後の廊下を進む。
渡狸達の教室の前で立ち止まり、右目の包帯を外す。
するとスーツの袖から見える腕や、壁、廊下の床など、周辺に目玉が浮かび上がる。
「さぁ・・・・視えるか・・・・。」
(渡狸はどこへ行った・・・??)
能力を解放させ、教室から立ち去った渡狸を追うように、意識を集中させる。
「・・・・体育館裏?」
最後に意識が途切れた所は、体育館の裏だった。
空は暗く、辺りは視界が上手く効かないほど暗闇に染まっていた。
先祖帰りに、この時間帯は危険だ。
いつのまにか全力で駆けだしている事に、
自分では気づかなかった。