Dream-INFINITE-

□苦労
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「いてて…」

「き、気が付いたか!」

「チーム長…」


目を開けるとチーム長の顔が見えた。
怒られると思い慌てて体を起こす。


「いった!」

「無理するなよ」


チーム長は優しくベッドに寝かせてくれた。


「あの、その、犯人は…」

「無事に捕まえられたよ。ありがとうな、シンチェ」

「よかったです…」

「ごめんな、その傷…」

「傷?」


近くにあった鏡を手に取って自分の顔を映す。
そこには真っ赤に充血した右目と、大きなガーゼが貼ってある左頬。
唇も何か所も切れていて、鼻が少し腫れている。


「ひどい顔…」

「ごめんな」

「チーム長は悪くないですよ。受け身が下手な私が悪いんです」

「でも…」

「気にしないでください!こんなのすぐ治りますよ」


それでも明るくならないチーム長の表情。


「チーム長、大丈夫ですよ。仕事に戻ってください」

「本当にごめんな」

「もう、何回言わせるんですか!」

「その、もし傷痕残ったら、俺がもらってやらなくもない、からな」

「もう、チーム長…って、えっ?」


驚いてチーム長の顔を見ると、真っ赤な顔を必死に腕で隠している。


「チーム長、今なんて?」

「な、なにも言ってない」

「もう一回言ってください!」

「何も言ってないって!」


仕事に戻る、慌てて席を立つチーム長。
そのまま背を向けてドアに向かって歩いていく。


「守ってやれなくて、ごめん。これからは俺が守ってやるから」

「チーム長!!どういう意味ですか!」


そのまま出て行こうとするチーム長を必死に止める。


「さっきから、何言ってるかわかりませんよ!」

「そ、そんなの自分で考えろ」

「考えても分かりません!」


体を起こしてチーム長の後姿を見つめる。
チーム長はもどかしそうに軽く足踏みをしている。


「本当に馬鹿なやつ」

「チーム長、馬鹿なんじゃなくっ…」


気付いた時には目の前にチーム長の顔。
そして重なっているチーム長と私の唇。


「だから馬鹿って言ったんだ」

「えっ、チーム長…」

「じゃあな!!」


そう言って出ていくチーム長を、ただただ目で追った。
そして襲ってくる傷口の痛み。


「もうっ、馬鹿はどっちよ…」


そう言いながらも高鳴る胸の鼓動は抑えられなかった。
こうして始まったチーム長との大変な恋。


fin
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