Dream-INFINITE-

□正体
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「え?」


仕事に行こうとすると、いきなり告げられた一言。


「今日からここに住むホヤくんです」

「初めまして。ホヤです」


母の隣には一人の男性。


「ま、待って、どういうこと?」

「昨日、お買い物行ったら一人で放浪してたから、つい声かけちゃった!」

「声かけちゃった!じゃないよ…」


こうして、拒否権なしに見ず知らずの人と暮らすこととなった。


「とりあえず、私仕事行くから!」

「いってらっしゃーい」


そんな母を見てため息を漏らし、家をあとにする。


「すごい若そうだったけど…何歳だろう?」


家に帰ったら質問攻めだ。なんて考えながら会社に向かった。

お母さんは見ず知らずの人と二人きりで大丈夫なのか…。


「おはようございます」

「あ、シンチェ、おはよう!」

「ちょっと聞いてよ〜、なんかお母さんが人拾って来たんだけど…」

「人!?」

「そう、昨日買い物行ったら放浪してたからって…」


つい文句を同僚にこぼす。


「はい、注目注目!」

「部長、おはようございます!」

「今日からここで働くホヤくんだ」

「えぇ!?」


あの人は紛れもなく、今日さっき家で見たあの人だ。


「な、なんで…」

「シンチェ知り合いか?」

「知り合いも何も…あ、いや、知りません」


家も一緒で職場も一緒って…

そもそも、仕事あるのになんで放浪してるわけ?


「シンチェ、もしかしてお母さん拾ってきたのって…」

「あの人…」

「シンチェ世話係な!」

「ぶ、部長!何でですか!」

「知り合いっぽかったから!」


ホヤが隣に連れて来られる。


「…とりあえず、社内を案内しますね」

「お願いします」


一歩後を歩いて来るホヤに丁寧に説明する。


「あと知りたい場所ってありますか?」

「社長室を…」

「こっちです」


ちょっと離れたところにある社長室に案内する。


「ここで大丈夫です」

「え?」

「社長と話があるので」

「待ってましょうか?」

「いえ、大丈夫です」


そう言って社長室に入っていくホヤ。


「ノックもしないで…」


社長と親しいのかな…

ドアに耳をつけて会話を聞いてみる。


「ヒョン!」

「ホヤ〜、待ってたよ!」

「ここに転勤するの大変だったよ」

「無事に来てくれてよかったよ〜、そういえば家ってどうしてるの?」

「あ、今俺のこと案内してくれた人の家にお邪魔してる」

「誰?」

「…シンチェ?って呼ばれてた気が…」


すごく親しそうで、笑い声まで聞こえる。


「シンチェって、社内で一番人気の子だから他の人に知られないようにした方がいいよ〜」

「そうなんだ?他にもっといい人いないの?」


私って社内で一番人気なんだ…初めて知った!!
って、他にいい人いないのって…失礼な奴。
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